殿様は目黒でサンマを食べたか

サンマの季節になりました。
古典落語「目黒のサンマ」を、ご存じの方は多いでしょう。8月29日の読売新聞に、「どうして「さんまは目黒に限る」?」が載っていました。

ところで、この落語は江戸時代ではなく、最近になって作られた話ではないかと、教えてもらいました。
先月、気仙沼に行った際のことです。江戸時代の記録には、気仙沼でサンマが獲れたという記録がないそうです。サンマは寒流の魚で、沿岸近くには寄ってこないのです。動力船ができて、沖合まで行けるようになってから、獲れるようになったというのです。すると、江戸近海では獲れなかったのではないか。そして、冷蔵技術がないと、消費地まで運ぶことができません。
江戸時代には、動力船と冷蔵技術がないので、目黒でも江戸市中でも、サンマは食卓に上らなかったのではないでしょうか。

もう一つ興味深い話を。私たちが口にする魚の多くは、一文字で表すことができます。鮭、鰯、鯛、鰊、鱸、鱧、鯉・・・。お寿司屋さんの湯飲み茶碗に、書かれていますよね。
ところが、サンマは一文字がないのです。秋刀魚とあてますが、一文字ではないのです。するとサンマは、食卓には意外と新しい魚なのかもしれません。