日本の競争力低下、経営の効率性の悪さ

8月11日の日経新聞経済教室、一條和生・IMD教授の「人的資本投資拡大に向けて 人材抱え込みの発想転換を」から。それによると、63カ国中、日本の競争力は総合で34位、政府の効率性で39位、ビジネスの効率性で51位です。

スイスのビジネススクールIMDが6月に発表した2022年の世界競争力ランキングでは、日本の競争力は前年から3ランク落ちて34位となった。
競争力低下の原因は明らかだ。上位3カ国のデンマーク、スイス、シンガポールと比べると、日本はビジネスの効率性が著しく低い(表参照)。その最大の要因は、ビジネスの効率性を左右する経営実務に関する評価が調査対象の世界63カ国・地域中最下位と極めて低いことだ。

経営実務に関する評価の細目で、ビジネスのアジリティー(機敏さ)、ビジネスの環境変化の認識、環境変化への対応、意思決定におけるビッグデータとアナリティクス(分析)の活用、マネジャーのアントレプレナーシップ(起業家精神)など14項目中、実に5項目で日本は最下位だ。
経営実務を担うマネジャーに対する評価も芳しくない。シニアマネジャーの国際経験に関する重要性の認識や優秀さでも日本は最下位だ。新しい資本主義の担い手として重要なこの層のレベルアップは喫緊の課題だ。こうした日本の弱点が改善され、せめて世界平均に並べば、日本の世界競争力ランキングは34位から20位に上がるとみられる。

次々と予想もしない変化が起きる中で、ビジネスリーダーにはデジタルスキル以外にも新しいスキルが求められる。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の22年調査によれば、調査対象企業の56%が教育投資を今まで以上に増やすと回答しているのもそのためだ。
常態化する危機のマネジメント、スピーディーな変化対応を実現するプロセスと組織能力の構築に並び、サステナビリティー(持続可能性)に関する教育への関心が高い。サステナビリティーの観点から、企業活動のあらゆる側面を変革しなければならないとの意識が世界的に高まっている。
日本企業も時代が要請する新しいスキルの教育に力を入れねばならない。18年の厚生労働省の「労働経済の分析」によれば、日本はスキルや学歴のミスマッチが経済協力開発機構(OECD)諸国の中で最も高い水準となっている。

そもそも日本企業の従業員教育に対する優先度は高くない。「労働経済の分析」によれば、国内総生産(GDP)に占める企業の能力開発費の割合を比べると、米国が2.1%、フランスが1.8%のほか、ドイツ、イタリア、英国が1%を超えるのに対し、日本は0.1%と突出して低い。
ただしそこにはもう一つ大きな発想の転換が必要になる。それは教育投資がもたらす可能性のある人材の流動化に関する発想だ。
バブル崩壊から約30年を経た今、日本がシニアマネジャーの国際経験で世界最下位になったという事実から目を背けてはならない。

国立公文書館「江戸城の事件簿」

国立公文書館で、「江戸城の事件簿」という展示が行われています。面白いです。お勧めです。
赤穂浪士の原因となった松の廊下の刃傷は有名ですが、江戸城ではそれ以外にも、何度も大名たちが刀を振り回しています。切りつけた大名と切りつけられた大名はその後どのように処分されたか、居合わせた武士たちはどうしたか。
城内でいじめに遭った武士が、同僚に刃物を向けます。さて、その処分はいかに。
江戸城に迷い込んだ猫と犬がいたそうです。どうして入ることができたのでしょうね。では、それをどのように処理するか。これが大ごとです。そんな記録が残っているのです。

岡崎守恭著『大名左遷』(2022年8月、文春新書)を本屋で見つけたので、読みました。江戸時代に入って、各地の大名は、幕府から何かと名目をつけられて、改易(お取りつぶし)、転封(国替え)を命じられます。1代で5回も国替えを命じられた殿様もいます。私の故郷明日香村のお殿様は、高取藩植村公でした。司馬遼太郎さんの「おお大砲」にでてきます。その話と植村家も取り上げられています。

江戸城で刃傷沙汰を起こし、大名から転落した後、老中まで復活した水野家の話は、かつて、福留真紀著『名門水野家の復活―御曹司と婿養子が紡いだ100年』(2018年、新潮新書)を読んで、へえと思いました。

笠井康子さん、官庁と日本の雇用文化を破る

日経新聞有価「人間発見」8月15日は、笠井康子・情報通信研究機構上席研究員の「科学でE・マスクに挑め(1)」でした。
・・・最先端電磁波の研究者であり異能人材育成の政策を進める行政官、宇宙に挑む起業家と多彩な顔を持つ。一貫するのは常に新しい世界に挑み、科学で社会をよくしたいという思いだ・・・

・・・いろんな仕事をしているので最近は、できるだけ名刺に書くようにしました。しかし「ここが私の場所」と思う場所はありません。笠井という人間がいて、たまたま今はこことここの仕事をしている、ということではないでしょうか。自分は既存の仕組みから、はみだしているのかなと思うこともあります。
研究は楽しいし、官庁の仕事は国を動かすやりがいがある・・・

・・・日本は「出るクイは打たれる」「失敗を恐れる」といわれます。でも「あの人は変だね」とニコニコしながら周囲に認めてもらえる環境をつくりたい。国としては初めての取り組みが多かったのですが、官庁の仲間たちの協力もあり、「破壊」という言葉を霞が関に持ち込み、失敗を許すことができるようになってきたのでは、と思います・・・

アサガオが咲きました

昨日26日朝に、アサガオが1輪咲きました。私は気仙沼市に行っていて、キョーコさんから報告がありました。午後に帰宅したら、まだ開いていました。青紫のきれいな花です。
今年は種をまくのが遅く、今頃になってからです。小さなつぼみもたくさん付いているので、これから次々と花を咲かせてくれると思います。
毎朝、キョーコさんが水をやってくれました。あんどん仕立てにしています。私の仕事は、上に伸びる蔓を、毎朝毎晩、横の枠に這わせることです。あんどんはジャングル状態になっています。

このホームページを遡ると開花日は、去年は8月8日、一昨年は7月28日、その前年は8月5日です。今年の遅さは、群を抜いています。反省。