連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第127回「政治・社会参加の重要性」が、発行されました。
前回に引き続き、税金に関心を持ってもらう話を続けます。イタリアでは個人所得税の千分の8を宗教団体に、5を非営利団体に、2を政党などに納めることができます。スウェーデンでは、毎年の年金納付額が所得の一定割合に固定され、それが積み重なって本人の年金受給権が増えていくことを確認できます。
なぜ、このような政治参加や社会参加、そしてその国民の意識を議論するのか。それは、現在の日本社会の不安は、社会の仕組みと国民の暮らし方や意識によって生じているからです。そして、政府、行政による公共サービス提供では、解決しないのです。
ところで、政治学と行政学は政府の役割について、経済学と財政学は市場の役割と政府の関与について大きな蓄積があるのですが、社会については、社会学が分析はするのですが、どのように改善すべきか、政府や私たちはどのように変えるべきかの議論はあまりしません。
社会学は、哲学のような深遠な議論をするものから、格差や孤独なの身近にある具体問題を扱うものまで、様々なものを含んでいます。その全体像を系統的・分類的に示すことは難しいでしょう。私が期待するのは、社会学のうち「実用の学」と思われるものを集めて、分類し、それらを全体的に議論することです。政治学、経済学(の一部)が「実用の学」であると同様に、社会学にもそれを期待したいのです。「公共社会学」という学問分野の考え方もあるようです。それが発展することを期待します。