連載「公共を創る」117回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第117回「国民・社会の政府に対する意識」が、発行されました。
第97回(2021年10月28日)から、社会と政府の関係を考えています。ここまでは、政府による社会への介入を考えましたが、今度は逆に国民や社会からの政府に対する意識について考えます。

人々による社会や政府への信頼は、重要な関係資本であり、文化資本です。法を守る、政府を信頼する、あるいは政府に依存しない自立精神などで、安心できる社会ができたりできなかったりします。
政府は、私たち国民に規制をかけたり、サービスを提供したりする「主体」(国民が客体)である一方で、私たちによってつくられ、操作されるという「客体」(国民が主体)でもあります。

その国民と政府との関係を、大まかに三つに分類しましょう。国民による統制、機能の対応、信頼関係です。
国民による統制は、国民が政府を選ぶことであり、その政府が行っていることについて国民に説明することです。
機能の対応は、国民からの納税、要望、異議申し立て、許可などの申請と、政府による規制やサービス提供です。
そして国民は、個別政策や政治的行為について意見を持つとともに、それらを通じて政府に対する全般的な意識を形成します。それは政府に対する何らかの期待、それに応じた政府の応答、それについての国民の評価を通してつくられる政府への信頼です。ここで取り上げるのは、この3番目の信頼関係です。