4月23日の日経新聞1面に「コロナ予備費12兆円、使途9割追えず 透明性課題」が大きく載っていました。
・・・政府が新型コロナウイルス対応へ用意した「コロナ予備費」と呼ばれる予算の使い方の不透明感がぬぐえない。国会に使い道を報告した12兆円余りを日本経済新聞が分析すると、最終的な用途を正確に特定できたのは6.5%の8千億円強にとどまった。9割以上は具体的にどう使われたか追いきれない。国会審議を経ず、巨費をずさんに扱う実態が見えてきた。
12兆円余りをおおまかに分類すると、医療・検疫体制確保向けの4兆円に次いで多いのが地方創生臨時交付金として地方に配られた3.8兆円だ。同交付金をめぐってはコロナ問題とこじつけて公用車や遊具を購入するなど、疑問視される事例もある。自治体が予備費を何に使ったかまで特定するのは難しい。
政府は4月下旬にまとめるガソリン高など物価高対策に、2022年度予算のコロナ予備費(5兆円)の一部を充てる構えだ。仮にコロナ問題と関係の薄いテーマにコロナ予備費が使われれば、予備費の本来の趣旨と反する恐れが強い・・・
また5月3日の1面には「予備費、3割で使い残し 緊急性見誤り3.7兆円拠出」が載っていました。
・・・政府が天災など不測の事態に対処するために用意した予備費を不適切に扱うケースが目立っている。2019~20年度決算を分析すると、緊急をうたって予備費を充てたにもかかわらず、最終的に使い残しが出た項目が8割に達した。こうした項目に総額の3割を超す3.7兆円が回っていた。必要性を見極めきれないまま予備費をつぎ込む姿が浮かび上がる・・・
緊急時には、きちんと使途を決めることはできず、すぐに支出できるように予備費を組むことは必要です。また、予算総額が膨れるという、見かけの効果もあります。それがどのように使われたか。予算より決算を検証することの方が重要です。他方で、使われずに余ることは、財政にとってはありがたいことでもあります。