3月22日の日経新聞教育欄、石塚達郎・日立財団理事長の「外国人生徒らの高校進学 学びの機会拡充、公民連携で」から。
・・・日本の高校進学率は98.9%(21年度)。つながる子ども(「外国につながる子ども」すなわち外国籍だったり、日本国籍でも日本語が不自由だったりして、就学・進学に困難を抱えている子ども)の進学率のデータはまだないが、外国人登録者数と高校在籍者数から試算すると約37%にとどまる。外国人の場合、小中学生世代の就学率も7割程度と見られるが、低い高校進学率の問題はより大きい。
18年の文部科学省調査では、日本語指導が必要な生徒らの大学などへの進学率は42.2%(公立高校生全体は71.1%)。高校段階の単年度中退率は9.6%(同1.3%)で、高校卒業までの3年間に入学者の約3割が中退する計算だ。
非正規就職率は40.0%(同4.3%)、進学も就職もしていない者の割合は18.2%(同6.7%)。つながる子どもが成長し社会で活躍する機会は日本人生徒に比べあまりに少なく、本人・家族だけでなく社会的にも大きな損失だ。
次に注意を促したいのが、親に帯同されて来日し「家族滞在」の在留資格で暮らす子どもの存在だ。高校生世代の外国籍者約4万人のうち約15%、6千人が該当する。彼らは日本学生支援機構の奨学金受給資格がない。就職する場合の労働時間は週28時間以内に制限され、正規就労は難しい。ただ現行制度では義務教育修了と高校卒業で「定住者」、高卒と就職内定で「特別活動」の在留資格が得られ、労働時間の制約がなくなる。彼らにとって高卒資格の価値は格別に大きい・・・