連載「公共を創る」110回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第110回「社会意識の変化」が、発行されました。
政府による社会への介入のうち「この国のかたち」の設定として、倫理と慣習について議論してきました。今回は、社会意識を取り上げます。ここでは、私たちの行動に表れるものを慣習とし、行動に表れないものを社会意識とします。

戦後70年、特にこの半世紀で、日本社会での寛容度は大きく広がりました。かつてはミニスカートや男性の長髪は批判される身なりでしたが、現在では許容されています。これは、国民が豊かになったこと、女性が社会に進出したこと、宗教や地域での制約が弱くなったことが背景にあります。
社会意識は政府が関与しなくても、つくられ変化するものです。しかし、政府の関与が行われる場合もあります。男女共同参画や働き方改革は、夫は仕事に出かけ妻は家庭を守るという社会意識を変えようとするものです。ボランティア活動は、政府が主導したものではありませんが、阪神・淡路大震災から若者が積極的に参加するようになりました。

課題は、社会をよくする際に問題となる社会意識を、どのように変えていくかです。
その一つが、集団主義と画一的教育です。日本人の特徴と指摘される集団主義、実は受動的なものであって、能動的には参加していません。自分を大切にして世間の目を気にする、個人主義なのです。