2月16日の朝日新聞国際面、オリシア・ルツェビッチ氏(英王立国際問題研究所特別研究員)の「民主主義 恐れるロシア」から。
・・・北大西洋条約機構(NATO)の拡大が問題の発端だというロシアの主張は、国内向けの言説に過ぎない。冷戦時代にソ連国内で反NATOのプロパガンダが盛んに流された結果、「NATOが拡大してくる」と言えば、今でも通用する。
ロシアが本当に恐れるのは「民主主義」。民主主義が欧米からウクライナを通ってロシアに入るのではないか、と懸念している。でも、そうだとは決して認めない。『ウクライナが怖い』などとは、口が裂けても言えない。
プーチン大統領は19世紀の帝国主義的価値観に染まり、国境周辺の土地にも所有権があると信じている。また、巨大なマーケットであるウクライナを支配することで、地域大国以上の力を持とうとしている。ロシアがウクライナなど周辺諸国を支配しようとするのは、ロシア指導層の不安の表れでもある。攻めの姿勢を取り続けないと、ロシアは求心力を失い、将来解体に向かうかも知れないと恐れるからだ。・・・