3段階の科学者の説明

1月27日の朝日新聞オピニオン欄、横山広美・東大教授の「科学的提言、信頼得るために」から。

・・・新型コロナ対策の専門家有志は21日、オミクロン株による感染者数の急増への対応について提言を発表した。その前日に検討された案には「若者は検査せずに診断」という旨の文言が入っていた。医療機関のキャパシティーを心配してとのことだが、各方面からの苦言を受けて撤回された。「人流抑制よりも人数制限」という方針も混乱を招いた。

科学者と社会のコミュニケーションは、3段階に分けることができる。緊急時のクライシスコミュニケーション、それよりは状況に余裕のある段階でのリスクコミュニケーション、そして平時から行う科学コミュニケーションである。
クライシスコミュニケーションの重要な点は、社会の構成員にこの危機は制御可能であるという具体策を示すこと、恐怖を煽らないこと、一貫したメッセージを発することだ。メッセージは状況によって変えてもよいが納得感が肝心である。今回の提言はこの2年間で私たちが自分たちなりに抱いた落としどころと、ずれが生じた・・・