「新しい試みに反対する人、後押しする人、実現する人2」の続きです。
改革に消極的な人たちを見ていて、気がつきました。彼らは、改革案に反対しますが、本気では改革案の問題点を考えてはいません。
改革案の問題点を挙げる場合に、二つの立場があります。
一つは、その改革案を実現するために、問題点を考えます。その場合は、その問題点を解決することを考えます。もう一つの立場は、改革案を進めないために、問題点を指摘します。
後者の人は、よくよく見ていると改革案に反対なのではなく、変えること自体が面倒なのです。それが証拠に、改革がなされると、改革について引き続き反対論を打つことなくそれに従います。これまでの進んできた方向から例えば10度右に進む改革が行われると、元の路線に戻ろうとは主張せず、そのまま10度右に進む道をまっすぐ進むのです。何のことはない、変えるのがいやなだけです。
改革は、現状維持より労力がかかります。その人たちは「放っておけば何もしなくてもすむのに、何を好き好んで仕事をつくるの」と考えます。そのうちに、それが性格になって、現状維持がおかしいこと自体に気がつかなくなります。
特に頭の良い人が陥りがちなようです。問題点の指摘がすばらしいのです。短時間のうちに、鋭い反対論を考えてくれます。本人も満足し、周囲も「この人にはかなわないな」と思ってしまいます。
私が若いときに、改革案の問題点を指摘してくれる優秀な上司に、頭が良いなあと感心しつつ、釈然としませんでした。その人たちが、問題点の指摘に終わって、その解決方法に知恵を出してくれなかったからです。その人たちに「学者」「評論家」という称号を奉り、相談に行くことをやめました。今なら、はっきりと言うことができます。彼らは、(優秀な)官僚ではなかったのです。
企業では、このような風習が続くと業績が下がり、倒産します。よって、このような性格の人は、排除されます。ところが、役所は「地域独占企業」なので、競争がなく、変化しなくても倒産しません。
この項続く。