連載「公共を創る」101回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第101回「家族と職場に見る「ずれ」の実像」が、発行されました。経済成長期に私たちの暮らしが大きく変化したのに、社会の仕組みや通念が追いついていません。そのずれが、不安を生んでいます。

家族の形では、サザエさんやちびまる子ちゃんのような3世代同居から、一人暮らしが増えました。家族という保障機能が小さくなると、孤立の問題が出てきます。男女共同参画は大きく進展しましたが、男性の家事従事時間は、女性よりはるかに短いです。

労働の形では、家族で働く農業や商工業から勤め人になりました。かつての農業に比べ、給料の良いきつい肉体労働でない月給取りは憧れでした。しかし、勤め人がすべて条件の良い労働ではありません。職場での人間関係に悩む人が増え、非正規雇用は給与も条件も良くありません。

終身雇用慣行は、社員が定着するには良い仕組みだったのですが、転職を妨げています。職場での大部屋主義と全員一致制は、非効率になりました。「部下に任せるのが良い上司」という通念は、上司が責任を取らないことにつながっています。