ネットいじめを防ぐ

ネットでのいじめが、大きな問題になっています。11月16日の日経新聞夕刊に、ネットリテラシー専門家の小木曽健さんによる「ネットいじめ、我が子を守るには」が載っていました。
・・・SNS(交流サイト)などでいじめ被害に巻き込まれる子どもが後を絶たない。我が子を被害者にも加害者にもしないため、保護者が普段から心がけるべきことは何か。「ネットで失敗しない方法」をテーマに講演活動を続ける小木曽健氏に寄稿してもらった。
「親に話すつもりはありません、小木曽さんも親には言わないでくださいね」――。先日、私のSNSアカウントに寄せられた、悪質ないじめ被害に遭っている中学生の言葉だ。親に言うどころか、私はあなたがどこの誰かも分からないのに……。それでもその子は「言わないで」と何度も念押しをした。
ネットリテラシー講師という仕事柄、子どもからネットで悩み相談を受けることが多い。大半は匿名で、親にもいじめを打ち明けられていない。「心配をかけたくないから」ではない。理由はもっと切実だ。
考えてみてほしい。いじめ被害者にとって「家の外」は、加害者に囲まれ神経を擦り減らす、心が休まる暇もない戦場だ。その戦場を抜け、やっとの思いでたどり着いた我が家。そこは唯一のリラックスできるオアシスだろう。
もしいじめの事実を親に知られたら……。その瞬間、オアシスが汚染されてしまう。「いじめ以前」の時間に戻れる貴重な場所を失う。だから親には言わないという子が少なからずいるのだ。心身を削るほどの深刻な状況でも親に相談しなかった子に「なぜもっと早く言わなかったの」と問うのは時に残酷だ・・・

・・・だが実際に親がネットいじめに気付けるかといえば、正直かなり難しい。むしろ気付けないかも、という前提での備えが必要だ。例えば、ネットいじめのニュースを見る度に「私はネットいじめとの戦い方を知っている」と口癖のように言い続ける。これはかなり効果がある。
実はネットいじめとの戦い方は決して難しくない。SNSでの匿名の誹謗中傷には、「URL」を含む画面のスクリーンショットが客観的な証拠になる。その画像を添えて「法的措置を検討している」と投稿するだけで、すぐに削除されるだろう。「なりすまし」(自分の偽物)アカウントが作られた場合も同様だ。警告すればたいていは消えていく。
これらの知識を事あるごとに子どもの前で口にすることで、いざという時に相談しやすい空気をつくっておきたい。大人が本気で戦おうとする姿勢を見せることは、被害者にも加害者にも響く・・・

11月23日の日経新聞教育欄には、原清治・仏教大教授による「ネットいじめ対策急げ 高校生8%経験、ゲームが主舞台」も載っていました。