11月16日の日経新聞「もらいすぎ中高年に包囲網」から。
・・・あらゆる仕事の報酬を調べて統計データとして提供する専門サービスが急伸している。日本の大企業の間にも、仕事の内容によって報酬を決める「ジョブ型雇用」が広がってきたからだ。一人ひとりのスキルや職種の需給に応じた報酬相場は、年功序列で昇給の階段を上がってきた「もらいすぎ中高年」をあぶり出す。労働市場の地殻変動は止まらない。
「賃金テーブルに年功色が残っていては若手の意欲は高まらず、外部の優秀な人材も引き寄せられない」最近、ジョブ型雇用に大きくかじを切った大手メーカー幹部は断言する。「外部の相場を反映しなければ働き手を満足させられない。算定根拠があいまいなお仕着せの賃金は通用しない」・・・
・・・ジョブ型の広がりは日本企業の中高年にとって試練だ。日米の賃金カーブを比べると、米国は給与水準のピークである45~54歳の中央値が25~34歳より2~3割高い程度。これに対して日本は3~4割ほど高い。
米国のようなジョブ型に移行すれば部下のいない名ばかり管理職らの「もらいすぎ」に下方圧力がかかる。20年に賃金体系を刷新した不動産会社は「中高年の中には今後3~4年で給料が3割程度下がる人も出てくる」と明かす。
エレクトロニクス事業の不振などで15年に年功制を完全に廃止したソニーグループ。役割に応じて賃金を決める「ジョブグレード制度」を導入したところ、優秀な若手が昇格する一方、管理職の半分が降格になり、5年で基本給が2割下がった人も出た・・・