本能

小原嘉明著『本能―遺伝子に刻まれた驚異の知恵』 (2021年、中公新書)を読みました。本能とは何か、昔から気になっていました。
ウィキペディアでは「現在、この用語は専門的にはほとんど用いられなくなっている」とも書かれています。でも、昆虫や動物が親から教えられなくても、歩いたり飛んだり、餌を取り、生殖します。学習しなくても、複雑な行動をすることは、本能なのでしょう。

この本には、いくつもの驚くような行動が書かれています。しかし、まだまだわからないことが多いようです。長い進化の歴史の中で、それぞれの種が身につけたのでしょうが。遺伝子や脳の働きといった「仕組み」の解明は進んでいません。「まだわからないことが多いのだな」ということがわかりました。

本能という言葉が避けられるようになったのは、人間の行動や性格を、十分な根拠もなく「本能だから」と説明したからではないでしょうか。科学的に解明されていないことを、不正確な俗説で決めつけるのは、話は早いのですが、有害な場合もあります。