社員は社長から未来の話を聞きたい

9月9日の日経新聞「私のリーダー論」は、石坂産業・石坂典子社長の「カリスマ性より理念で勝負」でした。風評被害で存続の危機にあった産業廃棄物処理会社を父から引き継ぎ、社会で理解される会社に生まれ変わらせました。産業廃棄物処理は、ゴミ処理場などと同じく、社会にとって不可欠の仕事です。しかし住民は、「自分の近くでは操業しないでほしい」と拒否反応を示します。

この記事は、リーダー論です。
「「世界で一番、人から愛される会社に変わろう」。後を継いだ石坂典子社長は高い理念を掲げて社員の意識を変え、やる気を引き出す。反発する社員の大量退社も乗り越え、環境共生のモデル企業と呼ばれるまでになった」

――良いリーダーの条件とは何でしょう。
「ちゃんと先を見すえている人じゃないとダメでしょうね。あとは、ぶれずに芯があり、誠実であることでしょうか。私の父がそうでした」
「毎期の売上高も大事です。でも社員はリーダーの口から、未来の話こそ聞きたいのではないかと思うのです。想像できないような遠い先に、世界はどうなっているか。自分たちはどんな役割を果たせるか。単に会社の将来の話だけでは、若い人たちは自発的に動いてくれません」
「この人は何をしたいのだろうと、リーダーは日々、社員から人間性をみられています。責任感はもちろん必要ですが、それだけではリーダーはできない気がします。事業への前向きな使命感をもっているかどうかが大事ではないでしょうか。それと情熱です。どれが欠けてもリーダーは難しいと感じます」