暑くなりました

7月も、半ば過ぎ。東京は梅雨も明け、30度を越える暑い日が続いています。コロナと猛暑。皆さん、大丈夫ですか。子どもたちは、もうすぐ夏休みですね。

夜の会合がないこともあり、早朝に目が覚めます。冷たいシャワーは、さらに目が覚めます。涼しいうち、そして頭のさえているうちに、原稿を書いたり、講演や取材の準備をしています。
昼は暑くて、何度も水シャワーを浴びます。冷たい麦茶がおいしいです。冷房を入れないと過ごせません。夕方の散歩も、サボり気味になります。

プロ野球も、オリンピックのために試合がありません。夜の楽しみ(楽天が負けないかという心配と苦しみ)も、当分の間おあずけです。
野球観戦に生きがいを見いだしている肝冷斎は、どうするのか心配ですが。プロ野球以外にも、野球はあるのですね。また、熱心に野外調査に行っているようです。この猛暑の中、熱中症に気をつけて。食べ過ぎなければ、減量になるでしょう。

もはや豊かな先進国ではない

7月11日の読売新聞「日本復活の処方箋」、加谷珪一・経済評論家の「もはや豊かな先進国ではない」から。
・・・「日本は安い国になった」
最近そんな声を耳にします。私は香港のホテルでビールを注文したところ1500円以上取られてびっくりしたことがあります。国内にいては、わからないかもしれませんが、日本の物価は今や欧米や一部のアジア諸国と比べて低水準です。コロナ禍で下火になっていますが、訪日外国人(インバウンド)がどっと増えた一因は「日本の安さ」にもあるのです。
日本人にとって「日本が世界でも指折りの経済大国」であることは当たり前の話でした。その常識が崩れ始めているのです。

なぜそうなったのでしょうか。
バブル崩壊以降、日本経済はほぼ「ゼロ成長」の状態が続いており、賃金水準は上昇していません。この間、先進諸国は国内総生産(GDP)を1・5倍から2倍に拡大させました。日本は相対的に貧しくなったわけです。「今はもう豊かな先進国ではない」というのが実情です。
日本経済が成長を止めた理由の一つには、「ビジネスのIT化」にうまく対応できなかったことがあります・・・

・・・では日本経済が復活するための処方箋は何でしょうか。
まずは、日本企業の生産性を高めることです・・・
日本企業は基本的に雇用が過剰だからです。ある調査によれば、日本企業には「仕事はないが、会社に籍がある」という従業員が400万人もいるといいます。全従業員の1割に相当します。この「社内失業者」が転職し、別の仕事に従事すれば、その分、生産性を上げることができるのです。
日本は「終身雇用」「年功序列」が根強く、多くの人は転職に抵抗感があるかもしれません。しかし、人材が流動化すればもっと多くのサービスを創出できるはずです。 そのためには、転職しやすい環境をつくる必要があります。行政による支援は必須です。スキルアップが簡単にできる「職業訓練プログラム」の充実を政府は成長戦略の柱にすべきです。
もう一つの処方箋は「薄利多売」をやめることです・・・

先に、ビックマックが、アジアより日本の方が安いことを紹介しました。「日本は貧しい国

夏椿の異変

わが家の玄関脇の夏椿についてです。去年の春に植え替えました。その後、順調に育ち、今年も元気よく花を咲かせてくれました。
ところが1か月ほど前から、いくつかの葉っぱに、茶色い枯れが目立つようになりました。一つの葉が全面的に枯れるのではなく、部分的にです。しかも、何もない枝と、枯れた葉が目立つ枝があります。
お向かいの園芸のお師匠様に相談しましたが、「病気でもなさそうだし」と原因不明です。

そこで思い出して、買った植木屋さんに相談しました。インターネットで買った、九州の植木屋さんです。その際に「何でも相談してください」とのことだったので、写真を数枚付けて、電子メールで相談しました。
回答は、「昨年も同様な症状が合った場合は、まだ植え付け2年目であることから、根がしっかり張っておらず水がうまく吸い上げられていない可能性があります。また、枯れているのが上部やサイド部分であることから、葉焼けを起こしているのかもしれません。夏場は葉焼けを起こしやすくなりますが、しっかりと根付くと葉焼けも落ち着きます」とのこと。
さらに詳しい対処方法も教えてもらいました。専門家に見てもらったのですから、安心です。便利なものですね。

玄関脇の小さな土地、下水管も埋設されているので、根を張るのも難しいのだと思います。水やりを怠らず、様子を見ることにします。

G7にいる資格

7月9日の朝日新聞オピニオン欄、「新井紀子のメディア私評」「G7にいる資格 言葉と論理で訴える気概あるか」から。

・・・2010年、日本の国内総生産(GDP)は中国に抜かれ、世界第3位になった。国自体が成熟し、生産人口が減るのだから致し方ない。まもなくインドにも抜かれることだろう。
日本だけではない。G7メンバーの多くが、GDP上位国にとどまることはできまい。それでもなお、G7の枠組みが残るなら、その存在意義は何か。日本が参加し続けるための「資格」は何か。「東京オリンピックに強力な選手団を派遣してほしい」以外に言うべきことを持たない我が国の首相の姿を見ながら、考え込まざるを得なかった・・・

・・・ 「建前民主主義」「建前自由経済」ではなく、民主主義と自由な経済の「あるべき姿」を不断に希求し続ける。異なる価値観を有する国々に言葉と論理で訴えかけ、具体的な解決策へ導く気概をもつ。そうしたことがG7に参加する上での資格ではないか。
たとえば、市場の失敗によって引き起こされた地球温暖化に対応することは、未来も含めた人類から「自由な経済」への賛同を得るための不可欠な活動とも解釈することができる。
振り返って我が国はどうだろう。この数年、日本の民主主義は「建前民主主義」へと明らかに後退した。公文書改ざんと国会における虚偽答弁、三権分立を揺るがす検事総長の恣意的人事への動きといった個別事案だけではない。政府が空疎な言葉で国会答弁を埋め尽くすことで、国会そのものが機能しなくなってしまった。まるで、国民が政治に興味や関心を失って、一票の権利を行使しなくなるのを待っているかのようだ。
報道も「建前的報道の自由」に劣化したように見える。メディアの多角経営化の中で、事業に「差し障り」のある報道は避けられる。スポンサーとして深く関わっている東京オリンピック・パラリンピックについて、メディアが「開催の是非」に言及しなかったのは、その象徴だろう。
25年に主要国首脳会議は50周年を迎える。日本がその場にいる資格があるか否か、真剣に考えてみませんか・・・

連載「公共を創る」第87回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第87回「社会の課題の変化―孤独・孤立問題に政府の取り組み」が、発行されました。前回に続き、孤立問題への取り組みについて説明しています。
イギリス政府が、2017年に孤立問題を検討し対策を取りまとめました。そして2018年に、担当大臣を置きました(スポーツ・市民社会担当大臣(副大臣級)の所掌事務に追加)。
日本でも、2021年2月に、一億総活躍担当大臣が、孤独問題も担当することになりました。特徴的なのは、内閣官房に置かれた担当室が、非営利団体と連携して取り組んでいることです。これらの問題では、行政より先に非営利団体が対応しました。また、行政には、この問題を直ちに担うだけの組織と人員がありません。私の主張している三元論が現れつつあります。このあと、官民連携がどのように進むか、見守りましょう。

さて、格差と孤立は、これまでの生存や安全、豊かさとは違った次元の被害や不安です。豊かな社会を達成し生存の問題を解決したと思ったら、生きがいが問題になりました。有名なマズローの要求5段階説を思い出します。人間の欲求を、生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求の5段階に分けたものです。生理的欲求と安全欲求が実現されると、社会的欲求や承認欲求が求められます。
そして、ここにおいても「後ろの安心とともに前の希望」が重要になります。昭和後期は貧しく経済格差もあったのに不安が目立たなかったのは、前に「豊かになれるという夢」があったからです。社会が成熟すると、「落第しない程度の成績でよい」「頑張っても仕方がない」という意識が広がります。どのようにしたら、若者に希望を持てる社会をつくることができるか。難しい問題です。

ロシアの文豪トルストイの小説「アンナ・カレーニナ」の冒頭に、有名な文句があります。「幸せな家族はいずれも似通っている。だが、不幸な家族にはそれぞれの不幸な形がある」
確かにそうなのですが、現在日本の社会生活問題には、共通の根があるのです。小説は不幸の違いを描きますが、社会学と行政は共通の原因を見つけ、対策を考えます。
身近な問題から、マズロー、トルストイ。我ながら、この連載は広い範囲です。