「失われた20年」といわれるような、日本の失敗について考えています。特に、やらなかったことの失敗です。
失敗には、2種類あるようです。やったことの失敗「作為の失敗」と、やらなかったことの失敗「不作為の失敗」とです。
やったことの失敗は目に見えますが、やらなかったことの失敗はわかりにくいです。必要なことをせず、やっておかなかったことが、後に悪い結果をもたらすのです。その時点ではわからず、時間が経ってからわかります。「なぜ、あの時にやっておかなかったんだ」とです。
例えば、東京電力福島第一原発の津波対策です。また、今回の新型コロナウイルス感染症についても、日本のワクチン開発能力の低下が指摘されています。かつては「ワクチン先進国」でした。副作用が問題になり、接種に消極的になって、開発も力を入れなくなったとのことです。「行政の決断と責任」
やらなかったことの失敗の一つに、中止しなかった失敗があります。例えば、山登りで悪天候になったり道に迷ったりして、遭難する場合です。引き返す判断をしなかった失敗です。
太平洋戦争はやったことの失敗ですが、やらなかったことの失敗とも見ることができます。動き出した事態で「このままだと失敗するな」と思っていながら止めないことは、不作為です。太平洋戦争に突入した際の日本軍幹部と日本政府幹部が、これに当たるでしょう。
「戦争できますか?」と聞かれれば、軍人は「できません」とは言えません。山本五十六・連合艦隊司令長官が「是非やれと言われれば半年や1年は随分暴れて御覧に入れる。2年3年となれば全く確信がない」と答えた話は有名です。
これは冷静に解釈すれば、「負けます」ということです。陸軍も海軍も「見えていた人」は、止めてほしかったのでしょうね。
この項続く。