「広い視野と行動力、岡本行夫さん」の続きにもなります。
公務員にとって、広い視野と狭い視野との違いは何か、どうして生まれるのでしょうか。その一つの答として、「制度を所管するのか、問題を所管するのか」の違いに、思い至りました。
広い視野の反対の一つが、「法令に書いてありません」「予算にありません」「それは私の所管ではありません」という公務員のセリフです。これはこれで、正しいのです。法律に基づいて仕事をする公務員としては。
しかし、困っている住民からすると、これでは答えになりません。社会の問題を取り上げ解決するのが公務員の役割なら、思考と視野を所管の範囲に狭めてはこまります。
その基にあるのが、制度を所管するのか、問題を所管するのかの、思考の違いです。
ある課題について、制度(法令、予算)を所管していると考えると、その制度の範囲内で処理しようと考えます。それに対して、問題の解決を所管していると考えると、今ある制度を超えて、どのようにしたらその問題を解決できるかを考えるでしょう。
東日本大震災からの復興で、被災者支援本部と復興庁が、これまでにないことに取り組んだのも、これで理解できます。これらの組織は、制度を所管しているのではなく、被災者支援と被災地の復興が任務だったからです。
この項続く。