4月25日の朝日新聞、社説余滴は、箱田哲也さんの「日韓を覆う演説不作」でした。
・・・鳴り物入りの訪米を果たした日本のトップは、世界の耳目を集めた共同記者会見でも「メモ読み」を貫いた。機微に触れる質問の回答が漏れたのは、事前通告に慣れすぎたゆえか。
個人の訥弁をあげつらおうというのではない。改めて憂えるのは政治家の言葉の貧弱さである。海の向こうから聞こえるスピーチはまばゆいが、日本政治家の名演説というと、すっかりごぶさたな気がする・・・
・・・政治記者の故・岩見隆夫さんは著書「演説力」で、政治家がテレビ出演や握手の回数を増やす「集票第一主義」に陥ったと指摘。「練り上げた演説文を個性的に工夫されたスタイルでぶち、肉声で訴える」ことを軽視していると嘆いた・・・
・・・韓国には比較的、演説上手が多い印象がある。
古くから武官に比べて文官が優位で、まさに「言葉が命」でしのぎを削ってきた名残だろうと、現地の政治家に聞いたことがある。そんな韓国でも最近は、名演説がすっかり影をひそめているらしい。
日韓の対立をほぐす過程に、政治家の姿が見あたらなくなって久しい。熟慮した言葉で隣国に語りかけるどころか「やりやがったなてめえ」とばかり、息巻く向きが双方に目立つ。
昨今の日韓関係の冷えこみには「演説不作」も影響しているのかもしれない・・・