NHKウエッブサイト、政治マガジン「死ななければ、帰れないのか」(3月17日掲載)に、私の取材が載りました。原発被災地、帰還困難区域の扱いについてです。
原発事故による放射線量の高い区域を、政府(原子力災害対策本部)は、3つの区域に分けました。放射線量が低く早く帰還できる区域(避難指示解除準備区域、緑色)、少々放射線量が高く除染をして帰還を目指す区域(居住制限区域、黄色)と、放射線量が高く当分の間帰還ができない区域(帰還困難区域、赤色)です。
このうち、解除準備区域と居住制限区域は、既に避難指示を解除しました。残っているのが、帰還困難区域です。
3つに分けたのですが、「避難指示解除準備区域、居住制限区域」と「帰還困難区域」とは、扱いが大きく違ったのです。前者は帰還することを前提とし、待ってもらう区域です。賠償も、待ってもらう間のものとして計算されています。
他方で、帰還困難区域は長期間帰れないことを前提に、賠償を払った地域です。故郷喪失慰謝料や、新しい土地での住宅建設について不足する金額も支払われています。多くの人も、それを前提に新しい生活を始めておられます。
その帰還困難区域で、放射線量が予想以上に早く減衰したので、帰ることができる地域も出てきたのです。これは、うれしい誤算です。しかし、まだ放射線量が高い地域もあります。
放射線量が下がって帰還できるようになったら、その区域は避難指示を解除することはできます。まだ放射線量が高いところを除染して避難指示解除を急ぐかどうか。そこで、記事にあるような問題が生じているのです。
この件については報道されているのですが、このあたりのことがきちんと書かれていないようです。当事者でない私が発言するのはおかしいかもしれませんが、取材に応じて、解説しました。