8月9日の日経新聞、ファベール・仏ダノン会長兼CEOへのインタビュー「人・自然重視の資本主義に」から。
・・・フランスは2019年に新法を制定し、利益以外の目標を達成する責任を負う「使命を果たす会社」を新たな会社形態に取り入れた。上場企業で第1号となったのが仏食品大手ダノンだ。エマニュエル・ファベール会長兼最高経営責任者(CEO)に、目指す会社像やウィズコロナの時代の経営について聞いた・・・
―6月の株主総会で定款変更が認められ、「使命を果たす会社」になりました。どういった点が変わるのでしょうか。
「定款にESG(環境・社会・企業統治)に関する新たな4つの目標を盛り込んだ。①製品を介した健康の改善②地球資源の保護③将来を社員と形成すること④包摂的な成長
―だ。取締役のメンバーはこれらの目標に対して責任を負う。」
「外部の有識者や従業員の代表からなる10人の独立した『ミッション委員会』が取締役会を監督し、目標を達成できていなければ改善を迫る。株主とそれ以外の利害関係者に対する価値創造のバランスをどう取るか指針を示す役割を担う」
―長年、環境や社会面に配慮した経営をしています。なぜですか。
「ビジネスは現金で始まり、現金で終わる今の経済モデルは間違えている。近代経済は金融資本で語る癖があるが、人的資本や自然資本も経済活動に活用している。それらを資本と捉え、お返ししないといけないという概念が乏しい」
「実際、現金がなく事業が赤字でも、卓越したアイデアがあれば会社は資金を集められる。企業が破綻するのも資金が尽きるからではない。リーダーが生態系への自信をなくすからだ。ビジネスは人で始まり、人で終わる」
フランスでは、このような試みが始まっているのですね。大賛成です。フランスは近年、非営利団体についても力を入れ、非営利活動を包括する「社会的連帯経済に関する2014年7月31日法」をつくりました。連載「公共を創る」第28回注3で紹介しました。参考「廣田裕之の社会的連帯経済ウォッチ」
また、こうなると、企業とNPOとの違いは、小さくなります。経済学の教科書は、どのようにこのような要素を取り入れるのでしょうか。