企業の無形資産

5月16日の日経新聞オピニオン欄、中山淳史さんの「見えない資産に注目を」から。

・・・米大手IT(情報技術)企業のGAFAにマイクロソフトを加えた「GAFAM」。5社の株式時価総額の合計はコロナ禍を機に東証1部上場企業(2170社)のそれを一気に上回った。
時価総額が5社で最も大きいマイクロソフト(世界では2位)のバランスシート(貸借対照表)を見ると、土地や工場、店舗といった有形資産が約3.9兆円と、日本企業で最も時価総額の大きいトヨタ自動車(世界では40位)の4割ほどにとどまる。
だが、トヨタの7.7倍にも時価総額を拡大できたのはデータやソフトウエア、アルゴリズム、研究開発といった無形資産(約8千億円)やのれん(約4.5兆円)を活用し、企業価値を高めることに成功しているからにほかならない・・・

・・・一方、ヘッジファンド、ハヤテインベストメント(東京・中央)の杉原行洋社長は無形資産と呼びうる対象の範囲に注目する。「従業員のITリテラシーにとどまらず、テレワークを柔軟に受け入れられるかどうか、社会と上手に接点が持てるかどうかなど、企業の組織文化や受容性にまで広がるべきだ」と言う。
問題は、現在の会計制度で文化や体質といった要素をどのようにどこまで認識できるかだろう。同様の問題を抱えているのが実は、国家や地域の経済規模を測る「国内総生産(GDP)」という指標でもある。
GDPでは捕捉し切れなくなったとされるものの一つが世界的に膨張する無形資産の経済規模だ。米研究機関によれば、その6割以上が正確に把握できていない可能性があり、企業の生産性を測る指標とともに時代に合ったものに見直す必要が出てきている。
もう一つ変化を迫られるとすれば、経営者のマインドかもしれない。形のないもの、見えないものにどこまで、どう投資するか。戸惑いは大きいはずだ・・・

経済活動再開の順番

5月18日の日経新聞オピニオン欄、西條都夫・上級論説委員の「ウィズ・コロナ時代の備え 「命と経済」両立戦略を」に、ハーバード大学が4月に公表した「パンデミックに強い社会への道」が紹介されています。そこに、社会基盤を担う職場から順に、正常に近づけていく段取りが載っています。

・・・まず第1段階ではエッセンシャル・ワーカーといわれる、医療従事者や食品スーパーの店員、電気・水道などライフラインを担う人、警察消防など全労働者の4割にあたる人に繰り返し各種検査を実施。陽性者は公的な所得補償をした上で隔離し、職場には感染者がほぼおらず、安心して働ける環境を整える。
続くフェーズ2では、日用品の生産や食堂、公共交通など日常生活に必要な機能を提供する約3割の人に検査対象を広げ、その後は美容院など遠隔では難しいサービスに、最後にオフィスワーカーにも検査範囲を拡大する・・・

表がついています。
第1段階のエッセンシャル・ワーカーは、労働力のうち40%を占めます。第2段階の準エッセンシャル・ワーカーは、30%です。
第3段階は対人サービスが10%、第4段階のホワイトカラー労働者が20%です。

年末年始の連休などに、病院、警察、消防、交通など休みを取らずに働いている人たちがおられます。この人たちのおかげで、安心して暮らしていけるのです。この人たちが労働者のうち何割くらいになるのか、気になっているのですが。この表の分類も、一つの見方です。

「日本思想史」2

日本思想史」の続きです。
私が知りたいのは、国民・大衆の思想です。ところが、学問の思想史で取り上げられるものは、一部知識人階級のものであって、その他多くの民衆の考えではありません。

僧の説く仏の教えを、どこまで庶民は理解したでしょうか。文字の読めない多くの庶民は、絵解きの地獄や極楽を見て理解しました。そして、そのような世界観で、毎日を暮らしたのでしょう。
そのほかに、儒教の教え、神様の信仰、習俗となったお祈りや祭りなど。庶民の道徳、倫理です。そして、個人の意識と社会の共通意識があります。

そこには、
・ものの見方(価値観を含む。大人になったら働き結婚するものだ)
・道徳(規範。嘘をついてはいけない。他人には親切にする)
・生きる意味・死後の世界(世界観。私の存在理由)
の3つがあるでしょう。
あわせて、意識(認識)のほかに、感情(気持ち)があります。国民感情、庶民感情と言われるものです。

連載「公共を創る」では、社会の変化を見る際に、数値で表すことができるものとともに、社会の意識を取り上げています。国民は何を求めたか、何に向かって努力したか、何に満足したか、何を不安に思っているかです。知識人の思想だけでは、これらは見えてこないのです。
何か良い書物がありませんかね。教えてください。

帰還困難区域での稲作試験栽培

5月22日のNHKウエッブニュースが、「帰還困難区域で初の田植え」を伝えていました。

・・・東京電力福島第一原発の事故による避難指示が続く帰還困難区域での初めての田植えが、大熊町で行われました。
福島第一原発周辺の330平方キロメートルが指定されている帰還困難区域では、これまで立ち入りが厳しく制限がされてきましたが、政府はことし3月に一部で規制を緩和し、避難指示を続けながら、日中は立ち入りができるようにしました。
このうち、大熊町の下野上地区では、22日、帰還困難区域での初めての田植えが行われ、町から依頼を受けた農家が、およそ9アールの田んぼに田植え機を使ってコシヒカリの苗を植えていきました・・・
・・・大熊町では、すでに避難指示が解除されたこの地区の隣の大川原地区で、平成26年からコメの栽培が行われていますが、基準を超える放射性物質は1度も検出されていません・・・

帰還困難区域は、放射線量が高く、当分の間は帰還できないとされた区域です。一部ですが、放射線量が下がったところから、帰還に向けて準備が進められています。

金田安史・阪大副学長。コロナウイルスのワクチン開発

5月21日の朝日新聞に「ワクチン実用化、見通しは―3タイプ開発する大阪大、2氏に聞く」というインタビューが載っていました。そのうちの一人、金田安史・阪大副学長は、高校の同級生です。

記事によると、3タイプのうち1つは、来年の年明けか今頃にも、一般人が使える可能性があるとのことです。
私だけでなく、日本中、世界中が期待していますよ。