月別アーカイブ:2020年3月

管理職、中間管理職、職員の区分、4

2020年3月9日   岡本全勝

しばらく間が空きましたが、「管理職、中間管理職、職員の区分、3」の続きです。

職員を職務別に採用せず、一括採用してから昇進させる方法は、「差別をせず平等に扱う」という、一見良さそうな面がありますが、欠点も多いです。
・職員には能力の差があります。それは持って生まれたもの以上に、本人の努力によるものもあります。採用時に同一に扱うということは、大学での勉学を評価しないということです。技術系は学んだ学問が評価されますが、それ以外は、採用の際に問われません。これでは、大学生活は壮大なムダです。
・職員が平等という考え自体が、無理です。会社にも役所にとっても、世間はそんなに甘くありません。能力ある者が能力を発揮しないと、会社は潰れ、役所は住民の期待に応えることができません。

・次のような悲劇も、起こります。
職種別の能力を問わない職場では、職場への忠誠心が評価の基準になります。その競争に、全員が巻き込まれます。それは、一面では全員が頑張るという活力を生みます。
しかし、仕事の成果という評価基準を用いないので、長時間働くこと、会社や上司の意向に沿うことが評価基準になります。
自分に与えられた仕事を処理しても、先に帰宅できないのです。
長時間労働や過労死は、この風土の中で生まれます。

・組織を効率的に運営し、社員や職員に能力を発揮してもらうためには、職種による区分と、階級による区分が必要です。軍隊(自衛隊)や警察、消防は、そのようになっています。

地方と国との司法決着

2020年3月9日   岡本全勝

3月4日の日経新聞オピニオン欄に、斉藤徹弥・編集委員が「地方と国、増える司法決着 地方分権一括法20年」を書いておられました。
・・・自治体と国を対等の関係とした地方分権一括法の施行から4月で20年。地方分権は停滞が否めないが、対等になったかどうかでみると成果と言える事象もある。法の運用や関与を巡って自治体が国と裁判で争う行政訴訟が増えてきたことだ・・・

詳しくは、記事を読んでいただくとして。指摘の通りです。かつては、法律的にも一部上下の関係が残っていましたし、意識の上でも上下の関係がありました。自治体に不満があっても、自治省をはじめとする各省が調整して、事を荒立てないようにしました。自治体も、訴訟に訴えるにしても、条件が厳しかったのです。

・・・政治的な利害調整を法廷で決着させる流れは「政治の司法化」と呼ばれる。政治主導の政策決定をめざした平成の統治機構改革は、冷戦崩壊で行き詰まった官による事前調整を見直し、司法による事後チェックへの移行を進めた。これが令和になって地方行政に現れてきたといえる・・・

次のような指摘もあります。
・・・政治の司法化が進むと、重要になるのが裁判所の信頼性である・・・専門家組織が裁判所を支える関係になることも大切だ。原発訴訟で判断が割れるのは原子力規制委員会の規制基準を妥当とみるか、不十分とするかによるところが大きい。安定した司法判断には、規制委が国民の信頼を高め、裁判所がその権威を認めやすくなる環境が必要になる。
ただ専門職のジョブ型雇用が主流の海外に比べ、日本は専門家組織が弱とされる。専門を重視する雇用形態が広がり、各分野で専門家組織の権威が高まれば、司法による事後チェックが安定し、政策決定でも専門的知見を重視することにつながるだろう・・・

連載執筆状況、第3章へ

2020年3月8日   岡本全勝

時間を見つけては、連載「公共を創る」の執筆に励んでいます。いつものことながら、難渋しつつ、少しずつ進めています。
まとまった時間が取れない、集中できない。数値を確認するのに時間がかかる、書きたいことはたくさん浮かんでくるが、論旨がまとまらない。関係する資料は読む気が起きず、他の楽な本に手を出してしまう・・・。いつものことです。反省。

3月末掲載分で、「第1部 町とは何か 第2章 暮らしを支える社会の要素」が終わります。年末年始に書きためた分が、底を突きます。あれだけたくさん書いたのに、早いものです。
次に、「第2部 社会は変わった 第3章 転換期にある社会」に入ります。まず、「1 日本は大転換期(1)成長から成熟へ」を書いています。
行政の前提となる社会がどのように変わったのか。それを考えます。議論の出発点を戦後に置き、昭和後期の経済成長と、平成時代の停滞を説明する予定です。

数値の確認など、何人かの協力を得て、(1)の前半分、昭和後期を書き上げました。いま、右筆2人に目を通してもらっています。
次に、平成時代に入ります。どのような視点で切り取るか。平成時代の変化は、まだ進行中であり、その延長にあるので、見極めは難しいです。これも、何人かの人に意見をもらいつつ、書き始めました。

世界の警察官の負担、人と金

2020年3月8日   岡本全勝

2月28日の朝日新聞国際欄に、「米国社会に漂う非介入主義」が載っていました。
ここで紹介するのは、そこに付いている表です。「米同時多発テロ(2001年)後の対テロ戦争関連犠牲者」(表の3)

それによると、総計77万人~80万1000人。内訳は、米軍が7千人ほど、民間契約業者が8千人ほど、現地の軍と警察が17万人ほど、現地の民間人が33万人ほど、敵軍が26万人ほどです。
また、これまでアメリカが支出した金額が、5.4兆円と出ています。

連載「公共を創る」第36回

2020年3月7日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第36回「社会的共通資本 「この国のかたち」を変える」が、発行されました。

これまで、すばらしい日本の経済発展と、軌を一にして称賛された「日本人論」。日本の発展に陰りが出ると、一転して犯人扱いされています。では、「この国のかたち」のどこを変えるべきか。
実は20年も前に、橋本龍太郎内閣で、この国のかたちをどのように変えるかを議論したのです。「行政改革会議最終報告」当時は日本の行き詰まりが各分野に表れ、「構造改革」が主要な政治課題だったのです。その第一が、省庁改革です。
しかし、この報告書は、省庁改革だけでは日本の行き詰まりは解決できないと、この国のかたちの改革を提唱したのです。

私は当時、参事官(課長)として、この省庁改革に参加しました(拙著『省庁改革の現場から』)。それもあって、地方行政をどう変えるか(それが拙著『新地方自治入門』です)、さらにはこの連載である、「公共」をどう変えるかを考えてきました。