管理職、中間管理職、職員の区分、3

管理職、中間管理職、職員の区分、2」の続きです。

会社の中に「身分」「階級」をつくらない。これが、戦後日本の民主主義や平等意識の反映であったと、小熊英二著『日本社会のしくみ』は指摘しています。
確かにそれは、採用時に、管理職と職員を分けない平等をもたらしました。しかし、そこに、管理職と職員の仕事のあいまいさが生まれました。

実際は、管理職になることができる者とできない者は、区分されていました。大卒、高卒、中卒という差(上級職、中級職、初級職の区分)で区分を作り、またコース別管理という形で区別しました。
上級職は、学歴と、早い昇進で、管理職になります。ただし、先にも指摘しましたが、平職員から出発して、管理職に昇進する過程で、管理職教育がきちんと行われていないのです。

かつて、全体の学歴が低かった時代は、大卒それも偏差値の高い大学卒というだけで、部下がついてきました。
お手本があって、それをまねる場合。前例通りで仕事を処理できる場合。本社から指示が来て、それを実行すれば良い場合などは、現場でたたき上げてきた管理職でも勤まりました。
しかし、その組織の進むべき方向を決めたり、新しい仕事の目標と期限を決めたりする場合には、現場経験だけではできないのです。

管理職教育がなされていないことの背景には、職員すべてにおいて、職務内容が不明確なこと、明示的に指示されない風土があります。
あなたは異動した際に、あるいは採用されたときに、その席で1年間になにをするべきかを、上司から文書で指示されたことがありますか。私はありませんでした。前任者から、簡単な引き継ぎを受けただけという人が、多いのではないでしょうか。
大部屋でみんな一緒に働く、係ごとで仕事を処理する場合は、このようなあいまいな方法でも処理できました。いえ、この方が、うまく処理できたのです。
この項続く