午後5時半からの会議

先日のことです。午後6時から、マスコミの方と意見交換会を予定していました。2人のうち、予定時刻には一人(記者A)だけ現れ、もう一人(記者B)は少し遅れるとのこと。

私:何か急な事件が起きたの?
A:ある役所の説明会が、5時半から入ったので。部下であるBを出席させて、私はこちらに来ました。
私:そんな緊急な案件なの?
A:いえ、3日後の公式会議の事前説明です。
私:あんた、それに対して、文句言わなかったの。5時過ぎからの会議なんて、働き方改革違反やで。
A:そうですね。私たちは、遅くまで仕事をするのに慣れてますから。
私:それは、だめだわ。記者Bさんが、子育て中だったらどうするの。誰か代わりに、保育園に迎えに行く必要があるで。緊急な案件なら仕方ないけど、その案件なら、明日の朝にしてもらったらよかったのに。

働き方改革、意識改革の道遠し。

連載「公共を創る」第32回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第32回「社会的共通資本 憲法と文化資本」が、発行されました。
日本に特有な関係資本や文化資本を表現するために、司馬遼太郎さんの言葉「この国のかたち」を借りました。

「この国のかたち」を理解するために、政府、世間・個人の3つの分野ごとに、骨格(法や制度)、実態(運用)、基礎(意識と生活)を、表にして整理しました。
この国のかたちをつくっているのは、国民の意識であり慣習です。そこには、変わるものと変わらないものがあります。
明治以来の、この国のかたちの根本にあったのは、日本は遅れた貧しい国であるという認識であり、豊かな欧米に追いつこうという意識でした。
この認識と意識が、日本の発展を支えました。しかし、豊かさを達成した現在では、それが時代遅れになっています。

見えざる手だけでは成り立たない経済

1月26日の読売新聞言論欄、堂目卓生・大阪大教授 の「誤解されっぱなしの経済」「見えざる手 その心は共感」から。

・・・みなさん、聞いたことがあるでしょう。富を分かちあう気のない人が、利己的に活動をしても、その方がかえって全体の富を増大させる、それがスミスのいう「見えざる手」だと。
これも、ある意味、誤解です。スミスは最初の著作「道徳感情論」(1759年)で、人が野放図に富の獲得を目指せば社会の秩序は乱れると論じます。そして富への欲望だけでなく、人間にあるもう一つの本性を使おう、その能力を使えば富を得ながらも富に囚とらわれず、心の平静を保つことができる、と書いています。
それが「共感」、シンパシーです。誰でも人が泣いていたら悲しいし、喜んでいたら一緒に笑いたくなる。こうした共感は、損得勘定とは別の能力で、人間に自然と備わっている。家族だったら自分だけ食べて、他の人に食べさせないということはしませんね。当然、分けあいます。他人でも目の前に飢えている人がいれば、自分が相手の立場だったらどんな気持ちになるか想像し、利他的な行動をすることもある。こうした共感によって自分の行動を制御することができれば、それぞれが自由な経済活動をしても、おのずから最低限の富が全体に行き渡る――これが「見えざる手」によってスミスがイメージしていたことだった、と私は考えています・・・

・・・では、なぜ、スミスは誤解されたのでしょう。それは蒸気機関の時代に生きたスミスの予想をはるかに超えたスピードと規模で科学技術が発達し、富と人口が爆発的に増え、物が豊かになり、消費が増えれば幸せになるという世界観が誕生したことにあります。
富や地位への野心は、勤勉、創意工夫などを通じて繁栄に貢献しました。一方で、物の豊かさに目を奪われ、目に見えない文化や習慣、伝統などは軽んじられました。そして、歯止めのかからない野心、利己心から、今や富は偏在し、少数の富裕層が世界の資産の大半を握り、貧しい人は置き去りにされています。その結果、他人を顧みない富の追求が経済だと誤解されるようになったのです。
こうした経済の学祖とされているのをスミスが知ったら、さぞかし不本意でしょう。同時に米中貿易紛争に見られるような保護主義的な介入を見たら、約250年前の重商主義時代となんら変わっていない、と嘆くでしょう・・・

原発被災地への工場進出

アイリスオーヤマの子会社であるアイリスプロダクトが、南相馬市に工場を建ててくれます。工場は2023年に稼働予定で、当初は50人を雇用、ゆくゆくは100人の雇用を見込んでいます。「NHKニュース

大山健太郎会長は、次のように言っておられます。
「福島県沿岸部では、地域住民の帰還が進まず、産業回復による雇用の創出が必須だと考えています。この度、雇用における復興支援を目的に南相馬市に集合型工場を新設する運びとなりました。」
「仕事がなければ、いくらインフラ投資をしても町は活性化しない。当社がやれる範囲の中で貢献していきたい。」
ありがとうございます。

アイリスグループは、このほかにも、報道資料(最後の方)にあるように、農業でも原発被災地の復興に貢献してもらっています。
重ねて、お礼を申し上げます。