官僚意識調査、実施終了

10月23日の朝日新聞夕刊で、このページでも紹介していた、北村亘・阪大教授による官僚意識調査が紹介されていました。「「情と理」1998年刊・後藤田正晴 政と官のあり方は

・・・ 今秋、行政学者たちが官僚の意識調査をしている。過去に村松岐夫・京都大名誉教授が3回手がけ、最後は2001年の内閣機能強化・省庁再編からまもないころ。研究班代表の北村亘・大阪大教授は「この間の変化がわからないままだったので明らかにしたい」・・・

今回の調査に協力いただいた現役官僚の諸君、ありがとうございました。いずれ、調査の成果が公表されると思います。

猛烈社員が課長になると

10月22日の日経新聞「私の課長時代」は、佐々木一郎・ブラザー工業社長です。
1995年に課長になられました。現在62歳なので、38歳のようです。

・・・非常に困ったというのが当時の正直な気持ちでした。それまでは技術者としての自分が世界でどこまで通じるか考えながら必死で仕事をしていました。仕事に熱中しすぎて体調が悪くなると3~4日休むといった、むちゃくちゃな働き方をしていたからです。
管理職は部下の育成や健康管理が仕事なので、自分が倒れてはいけません。まずは休まないことが仕事でした。困難な技術課題に率先して取り組むのが私のやり方でしたが、技術的な好奇心をグッとこらえて早く帰るようにしました。一方、徹夜や休日出勤した部下には差し入れをして労をねぎらいました・・・

・・・機械の開発は図面などで途中経過が一目で分かりますが、ソフト開発はそうはいきません。難しい仕事はうまくいかないと孤独を感じます。
あるとき、納期の直前に部下から間に合わないと打ち明けられました。色々手を尽くしましたが、どうにもなりませんでした。責任感の強い人ほど自分から言い出せず、最後まで頑張ろうとします。しかし、手の打ちようのない局面でトラブルを相談されるのはマネジメント側の負けです。

その一件を猛反省し、早い段階からトラブルを見つけるようにしました。まず部下が出勤すると必ず全員の顔つきを見ました。困っている人ほど表情が曇っています。声をかけたときの返事も重要な情報です。順調な人は声が弾んでいますが、そうでないと返事に元気がありません。どうすれば相手が気軽に打ち明けられるか考えながらコミュニケーションを取りました・・・

拙著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』にも書きましたが、猛烈社員が良い課長にはなるとは限りません。自分で仕事することと、部下に能力を発揮してもらうこととは、別のことです。そのことに、早く気づくかどうか。日本の多くの職場で、管理職養成はしていません。

カタカナ英語の限界

最近、新幹線の車掌さんによる車内放送で、日本語の他に英語による案内が増えました。これまで英語による案内は、録音したテープによるもののようでした。
車掌さんによる英語案内は、外国人乗客の増加に対応してよいことですね。もっとも、日本人車掌(と思われます)さんたちの発音は、まだ英語を母語とする人たちのようには、いかないようです。英語と日本語で音韻体系が大きく異なるので、日本人が英語を英米人並に発音するのは、かなり難しいです。

ところで次は、日本人による英語の発音とは別の話、カタカナ語の話です。
東北新幹線に乗っていて、大宮駅が近づくと、乗り換えの車内放送があります。最初に日本語の案内があり、続いて英語での案内があります。これは、車掌さんの声でなく、録音の再生です。

上越新幹線、北陸新幹線、JRの各在来線、私鉄が案内されます。その一つに、「東武アーバンパークライン」があります。東武野田線の愛称のようです。
それを聞いていると、「とおぶ あーばん ぱーくらいん」という発音と、 [ toːb  ərbən pɑ’ːrk láin]  とは、まったく別ものですね([toːb]は私が勝手に充てた表記なので、自信がありません)。
最初、英語での案内を聞いたときは聞き取れず、何のことだろうと悩みました。その後、注意しながら聞いたら、「東武アーバンパークライン」だとわかりました。
「アーバン」と「パーク」は、これが英語の発音なのだと、感激します(笑い)。皆さんも東北新幹線に乗ったら、聞いてみてください
変な日本語、カタカナ語

消費増税は経済成長停滞とは別

10月20日の読売新聞1面[地球を読む]、吉川洋・立正大学長の「消費税上げ 経済停滞の犯人にあらず」から。

・・・消費税と景気の関係については、問題をきちんと整理する必要がある。
まず、税率が上がる前に買っておこうという「駆け込み需要」と、その後の落ち込みである「反動減」がある。今回は駆け込み需要が比較的小さかったといわれるが、9月末に駅で定期券を買う人の行列ができているのを見た人もいるだろう。しかし、消費のタイミングを増税前に移動させるだけだから、1年を通してみれば総額は変わらず、大きな問題ではない。

消費税率引き上げの影響は、駆け込み需要と反動減にとどまらない。これはまさに増税である以上、家計が自由に使える所得は増税分だけ減少し、結果として消費が減る。
ただし、これは消費の「水準」を落とすだけで、消費の「成長」とは関係ない。もし増税後、落ちた消費が長らく回復しないようなことがあるとしたら、それは消費税に原因があるのではなく、他に理由があると考えなければならない。
消費税(付加価値税)によって景気が長期間低迷し、成長が阻害されるというなら、税率がおおむね20%ほどである欧州連合(EU)諸国の経済は、はるか昔に壊滅しているはずである。しかし、EU諸国は、多くの悩みを抱えながらも、世界を代表する「先進国」であり続けている。

1997年4月、橋本内閣により消費税率は3%から5%に引き上げられた。その後、日本経済は99年にかけて深刻な不況に陥った。主因は大型の金融機関が次々に破綻した金融危機だったが、今でもその時の記憶が一部の人々の間では「消費税のトラウマ」として残っている。2014年4月に安倍政権の下で税率が5%から8%に上がった後も、消費が長く低迷したことから、またもや消費税が犯人とされ、それが今回の過剰ともいえる「対策」を生み出した。だが、消費の伸び悩みは、主に賃金が十分に上がらないことや社会保障の将来不安によって生み出されたものだ。

実際、長期的にみると、消費税率が上がっても実質ベースの消費が増えたことが分かる。税率が3%だった96年度の258兆円から、8%だった昨年度は300兆円と、16%増加した。この間に国内総生産(GDP)は2割近く増えている。長期的に国全体の消費を増大させるのは、経済成長なのである・・・

連載「公共を創る」執筆状況

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の執筆を続けています。「第2章暮らしを支える社会の要素 1公私二元論から、官共業三元論へ」をほぼ書き上げました。

今回から、右筆2号を勝手に指名し、目を通してもらうことにしました。快く引き受けてくれました。早速、右筆1号とは違った観点から、良い指摘をもらいました。ありがとうございます。
右筆1号と2号の指摘を加筆し、ほぼ完成です。結構な分量になりました。これで、11月を越せそうです。

ところが、続きの第2章2に着手したのですが、これまた難渋しています。第2章1も2も、これまでしゃべったり書いたりした部品があるのですが、改めて文章にすると、その雑さが目について、その修正に困っています。
まず、原案の第2章2と第3章を、入れ替えることにしました。