物が増えたこの70年

台風被害に遭った地域での、後片付けが報道されています。たくさんの家財が水に浸かって、使えなくなりました。それらが、災害ゴミになっています。この処分が、大変です。
その映像を見て、物が増えたなあと思いました。
戦後の大きな台風としては、狩野川台風(1958年)や伊勢湾台風(1959年)、第二室戸台風(1961年)が引き合いに出されます。当時は日本家屋は強靱でなく、大風や浸水で壊れたようです。しかし、災害ゴミが大量に積み上げられたことは、なかったのではないでしょうか。

当時は、経済成長が始まる前で、家庭にはそれほど家財道具がなかったのです。タンスやちゃぶ台、お釜などはありましたが。
現在の家にある電化製品のほぼすべては、その当時にはなかったのです。豊かさの象徴となった、電気冷蔵庫、電気洗濯機、白黒テレビを「三種の神器」と呼んだのです。それを買うのが、昭和30年代の多くの日本人の夢でした。
私は昭和30年生まれ、経済成長の及んでいなかった農村(明日香村)で育ったので、この物が増える過程を経験しました。当時の居間には、本当に物は置いていなかったです。
若い人には、想像がつかないでしょうね。物を持たない(世間に物がない)生活でした。もちろん、それだけ不便でした。

家財道具だけでなく、食料品や衣類などもです。大量生産、大量消費の時代が来て、それらがゴミとなった後の始末も大変になりました。市町村が、焼却場を造って、受け入れました。

今和次郎先生が、「考現学」を提唱されました。考古学に対して、今の生活を研究するのです。その調査の一つに、一家の持ち物調べがありました。それぞれの家の中にある、家財や物をすべて屋外に持ち出して、それを記録することだったと記憶しています。松岡正剛さんの紹介
昭和30年代と現在とを比べると、その数の増え方にびっくりすると思います。