男の仕事社会の変貌

男性が家族を顧みないで仕事に打ち込む。これがかつての、仕事人間の理想像でした。私も、そうでした。毎晩遅くまで仕事をし、さらに飲みに行きました。今は反省しています。
最近、「時代は変わりつつあるなあ」と考える事件に遭遇しました。

先日、旧知の女性記者さんから、意見交換会(会食)のお誘いがありました。「でも、あんたは育休明けで、子育て中だろう?」と聞くと、「はい、できれば昼食でお願いします」とのこと。で、昼ご飯を食べながら、意見交換をしました。
次に、別の女性記者からも、意見交換会のお誘いが。今度も「あんた子育て中だから、昼の方がええんやろ?」と聞くと、「はい」とのこと。で、霞が関近くで、昼ご飯を一緒することにしました。
続くときは続くものです。久しぶりに会った別の男性記者からも、「意見交換会お願いします」。「あんたも、昼の方がよいのかい?」と聞くと、「はい」と即座に返事が来ました。

彼女彼らは、かつて遅くまで飲んでいた人たちです。
まあ、酔った勢いで、ふだん言えないことを言っていたことも事実ですが。そんな、危険かつ不健康なことをせず、まっとうな意見交換がよいですね。

展覧会と入場券

続く台風が、大きな被害をもたらしています。早い復旧を祈っています。

徐々に秋らしくなってきました。いろんな展覧会が、開かれています。キョーコさんのお供をして、休日に出かけています。
家にいると、原稿を書くために、書斎の椅子に座りっぱなしなので、体を動かすことをかねてです。連載を抱えていると、常に締めきりに追われています。また、少しでも書きためておこうと、休む暇がないのです。我ながら、貧乏性です。

それぞれに、目を楽しませてくれます。所蔵の美術品だけでなく、国内外から優れた作品が、展示されています。日本特に東京は、その点では恵まれています。かつての王侯貴族でも、これだけの美術品を簡単に見ることはできなかったでしょう。

また、入場券がきれいですよね。その展覧会の目玉の作品を取り入れたものが多いです。入り口で切り取られた残りの半券を、本の栞に使っています。

日本の社会の仕組みを変える

NHKウエッブニュースの、小熊英二さん「もうもたない!? 社会のしくみを変えるには」が参考になります。画面で読むには少々長く、私は紙に印刷して読んでいます。

・・・2019年7月に出版した本では、終身雇用や年功序列といった雇用慣行をはじめとした日本社会の構造を、雇用、教育、福祉の観点から横断的に分析し、解き明かしています。小熊さんは、「今の社会は、1970年代の仕組みのままで、もうもたなくなっている」といいます・・・

・・・「どのポジションから見るかによって、全然見え方の違う30年」だったと思いますね。日本社会の約26%に当たる、大企業の正社員や官庁勤めの人から見れば、「変わらなかった時代」。ただ、それ以外の人たちにとってみれば、かなり大きな変化があった時代だと思います。
最近書いた『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』という本で、私は現代日本での生き方を「大企業型」「地元型」「残余型」の3つの類型に分けて説明しました。
「大企業型」は、毎年、賃金が年功序列で上がっていく人たち。大学を出て大企業の正社員や官僚になった人などが代表です。「地元型」は、地元にとどまっている人。地元の学校を卒業して、農業や自営業、地方公務員、建設業などで働いている人が多いです。「大企業型」は、所得は多いものの、長時間労働や通勤時間が長く、地域社会につながりが薄い人が多い。「地元型」は、所得は比較的少ないものの、地域コミュニティーを担い、持ち家や田んぼがあったり、人間関係が豊かだったりします。
ただ、平成の時代に増加してきたのが、所得も低く、人間関係も希薄という「残余型」。都市部の非正規労働者などがその象徴です。

これらの3つの類型を先行研究などをもとに2017年のデータで推計したところ、「大企業型」が約26%、「地元型」が約36%、「残余型」が約38%となりました。
このうち「大企業型」の割合は1982年から2017年までほとんど変化がなかったのです。日本社会の約26%にあたる「大企業型」の人たちの雇用形態や働き方は70年代初めに完成した「社会のしくみ」です。平成は、大枠で言えば、国際環境が大きく変わる中で、この「社会のしくみ」を無理にもたせてきた時代だったと言えると思います・・・

・・・70年代後半から80年代は、日本は、いわば今の中国みたいな位置にありました。つまり、世界の工場です。しかも当時は東西冷戦のさなかでしたから西側陣営の工場です。冷戦が終わると、その日本の地位は失われていくことになりました・・・

・・・日本は近代化が遅かった国だったので、先進国に比べてソーシャルキャピタル(地域のつながりや人間関係)がとても豊かでした。だから、行政は方針だけは出すけれども、地域のことは地域で、業界のことは業界でやってくださいという、そういう姿勢でやってきたからでしょう。
これまでの日本は、非常に安上がりな国家だったと思います。地域社会の力にあぐらをかいて、行政職員を増やさないでやってきた。なんでそんな安上がりな国家が築けたかと言えば、遅れて近代化したがゆえに、地域社会の関係が多かったからだと思います。自治会長か中学校の先生に聞けば、その地域のどこの家族が貧困であるか、おおかたわかる。つい最近までそういう社会でした。
ところが、それがもたなくなってきました。地域社会を支えていた自営業の人々、具体的には町内会や自治会や商店会を担ってきた人々が、高齢化するか、非正規雇用に移動している。そうなれば、地域のつながりは希薄になります。そうなると、行政が自治会や業界団体に方針を示しても、地域の末端や業界の末端まで、それが行きわたらなくなりました。私は、基本的には、他の先進国の基準程度には、公務員を増やさないとこれからもたないと思います・・・

私は、連載「公共を創る」で、同じような趣旨で、日本社会の変化とその対応に遅れている行政や日本人の意識を指摘しています。平成時代が、その曲がり角でした。10月から掲載される「第1章3(4)変貌した社会への対応」が、この小熊さんの主張と重なります。

公衆の場でのスマホ操作、両耳イヤホン

丸ノ内線の新しい決まり」の続きです。

このページでも何度か書いていますが、歩きながらのスマホの操作、電車の出入り口でのスマホの操作は、やめて欲しいです。出入り口で仁王立ちで操作をされると、他の人が通れません。「歩きスマホを禁止する

日本は「おもてなしの国」という説がありますが、とんでもありません。周囲への気配りができない人が多いのです。自分が通路をふさいでいること、乗り降りの邪魔をしていること、背中の鞄が邪魔になっていることに、全く気がついていません。

最近、さらに困ったことが増えました。両耳をイヤホンでふさいでいる人です。
オーディオ会社が、「このイヤホンで、通勤途上もあなた一人の世界になることができます」という趣旨の宣伝をしています。
とんでもない主張です。自宅なり、喫茶店なり、電車でも指定席なら、一人の世界に閉じこもってください。でも、公衆の通路で、自分だけの世界に浸っては困るのです。

しかも、緊急の要件を処理しているなら、周囲も理解するでしょう。でも、多くの人は、ゲーム、ドラマ、漫画、サイトのサーフィンのようです。「公衆の場で、そんなことをしては恥ずかしい」というしつけの世界です。親が教えることができないので、世間みんなで教える必要があります。

企業の地域貢献、具体例

連載「公共を創る」第18回「哲学が変わったー成長から成熟へ 公共を支える民間」の補足です。記事の中で、自治体と企業との連携協定を紹介しました。その例として上げたものを、補足説明を含めてここに載せておきます。

1 福島県の例。企画調整課「企業等との包括連携協定
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/11015a/hokatsurenkei.html

2 神戸市。神戸市 認知症の人にやさしいまち「神戸モデル
(1)認知症の人にやさしいまち『神戸モデル』トップ認知症事故救済制度とは?
https://kobe-ninchisho.jp/accident-relief-system/

(2)神戸市認知症の人にやさしいまちづくり推進委員会 事故救済制度に関する専門部会 「事故救済制度素案」及び「事故救済制度運用支援業務委託」提案募集の選定結果について
http://www.city.kobe.lg.jp/information/committee/health/nintisho/img/30.07.20_05.pdf

3 三井住友海上火災保険
(1) 上の2(2)で、市に対し制度案を提案し選ばれた側である、三井住友海上火災保険のホームページ(すみません、原稿に載せるのを怠りました)
地方創生への貢献」のページ中、「1.地域課題解決に向けた支援 (2)商品・サービス・ネットワークを活用した支援(認知症神戸モデル、大阪府里親制度)」(欄右の+記号をクリックしてください)
https://www.ms-ins.com/company/region/

このページには、地方自治体への協力として、次の3つに分けて活動が載っています。
① リスクソリューションサービスを活用した支援(働き方改革、BCP策定、企業の経営課題解決)=会社が持つ技能を提供しているもの。
② 商品・サービス・ネットワークを活用した支援(認知症神戸モデル、大阪府里親制度)=会社の商品を活用したもの。
③ 社会貢献支援(物産展の開催等)=一般的な社会貢献

神戸市の認知症事故救済制度は、このページで紹介したことがあります。
官民協働施策、神戸市の認知症事故対策」「その2