サラリーマン経営者の限界

7月28日の日経新聞、孫正義・ソフトバンクグループ会長のインタビュー「AI革命、八百屋の執念で」から。

・・・――日本を「AI後進国」と評価しています。
「やばいと認識しなければならない。日本が世界でどんどん競争力を失っているのは、進化に対して貪欲ではないからだ。意思決定が遅いため進化に追いつけない」
「多くの大企業には一獲千金を狙うたくましい経営者がおらず、サラリーマン化している。日々店を切り盛りしている八百屋さんの方が事業への執念がある。自分の家業で頑張っただけ見返りがあり、頑張らなかったら倒産するという危機感を持っているからだ」・・・

・・・「日本企業の経営者の多くは、計画をつくるばかりで、ビジョンや戦略は先輩がつくったものの焼き直しだ。平たく言うと、あんまり真剣に考えていないんじゃないか。戦前戦後のころは苦労の中からはい上がった創業者が多かった。彼らはでっかい夢を持ち、何としても成し遂げるという執念があった。だけど、サラリーマン経営者に引き継がれていき、変わってしまった」

――日本の大手企業の多くが停滞している原因は経営者にあると。
「日本の産業界、経済界の最大の問題は成長分野の世界市場のなかでポジションを取れていないことだ。衰退産業ばかりにしがみついている。だから進化から取り残されてしまう。いまだ、ぬるま湯の中に心地よくひたっている人たちからすれば、我々は危険で狂気を持った集団にみえるのだろう」・・・

会社をはじめ組織には、指導者、管理者、従業員の、3者がいるのだと思います。
優秀な従業員が良い管理職にならないことは、拙著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』で書きました。同じように、管理者のままでは、指導者にはなれないのでしょう。

広がるゲーム障害、日本で500万人

7月24日の日経新聞夕刊「ゲーム障害 向き合い方は? 国内500万人 ネット依存の恐れ 無理にやめさせない/孤立させないケアを」から。
・・・オンラインゲームなどのやり過ぎで日常生活が難しくなる「ゲーム障害」を世界保健機関(WHO)が疾病と認めた。患者数は明確ではないが、「ネット依存」の疑いがある人は国内に500万人ほどおり、増加の一途をたどっている。ゲーム障害にどう向き合えばいいのだろうか・・・

・・・ゲーム障害は日常生活に支障が出たり健康に害が及ぶ疾病だ。厚生労働省は、中高生の14%にあたる約93万人がゲームなどのネット依存の恐れがあると推計する。5年でほぼ倍増した。
東京都は小中高生や保護者などを対象に、ネットやゲームとの付き合い方を考える講座に専門家を派遣している・・・
・・・「ゲーム障害を抱える子供にとってゲームは心のつえ。無理にやめさせる必要はない」と周愛荒川メンタルクリニック(東京)の八木真佐彦・精神保健福祉士は話す。ゲーム障害の子供は家庭で問題を抱えているケースが多いという。「相談下手、孤立した頑張り屋さんの方がゲーム障害になりやすい」(八木氏)
ゲームにのめり込むのは快楽にふけっているのではなく、落ち込んだ気持ちを治そうと「自己治療」をしている場合が多いと八木氏はみる。こうした状況でゲームを取り上げても問題の解決につながらず、アルコールや薬物など別の対象に依存したり、最悪の場合、自ら命を絶ったりする危険性すらあるという。
「孤立しているゲーム障害の子供たちが安心できる環境を提供することが重要」(八木氏)。ゲームにのめり込む根本の要因を見つめ直す必要があり、それには家族のケアが重要になる。「家族へのカウンセリングを繰り返す中でお子さんに会わずして回復に至るケースもある」という・・・

世界保健機関では、病気に分類されています。
子供に、どのようにしつけたら良いか。両親も困っているでしょう。親の世代は経験していない「危険」なのです。子供への接し方も、教えてもらっていません。
新しい社会の課題です。

釜石市鵜住居スタジアム、ラグビー国際試合

昨日7月27日、釜石市鵜住居復興スタジアムに、行ってきました。パシフィックネーションズ、日本代表対フィジー代表戦。この秋のラグビー・ワールドカップの前哨戦です。1万3千人の観客で埋まりました。秋にはこの地で、ワールドカップの試合が行われます。

鵜住居(うのすまい)復興スタジアムは、その名のとおり、鵜住居にできた復興のシンボルです。
この土地には、かつて学校がありました。生徒は全員が高台に避難して無事でしたが、職員が一人亡くなっておられます。鵜住居地区は、ほぼすべてが津波にのまれ、たくさんの人が犠牲になりました。行くのは去年の秋以来ほぼ1年ぶりでしたが、鵜住居地区にどんどん家が建っています。発災直後、それからの復旧を見てきた私にとっても、感慨無量です。

試合は日本が終始優勢で、快勝しました。多彩な攻撃で、見ていて楽しかったです。体格では一回り大きなフィジーに対し、日本選手が負けない、そしてグラウンドを走り回るのです。
最初は、フィジー代表の当たりが弱く、「親善」してくれているのかなと邪推しましたが。試合後に、森重隆・ラグビー協会会長に聞いたら、日本チームの力量が上がっているとのことでした。別の雀たちは、「あまりの蒸し暑さに、足が止まったのではないか」と指摘していました。

蒸し暑さは大変なものでした。
釜石なので、この時期は涼しいだろうと思ったのは、大間違いでした。台風が日本列島に接近しているので、雨が降るかもしれないと思って、ポンチョを持っていったのですが、これは不要でした。
パナマ帽、夏用のジャケットとズボンは正解でしたが、途中から西日がきつく、これは帽子では防ぐことはできませんでした。招待席の方々は、黒のスーツで帽子なしが多かったです。う~ん??
観客がつらいのですから、選手はもっときつかったでしょう。ラグビーは夏のスポーツではないですね。

狭くなる日本の家屋

7月25日の日経新聞に「進化するトランクルーム 狭まる新築面積に商機 」という記事が載っていました。
・・・かつて野ざらしのコンテナ型も多かったトランクルームが進化している。日本の家はこの20年間で畳7畳分、約12平方メートル小さくなった。収納不足に悩む消費者の受け皿として、スマートフォンと宅配網を駆使し必要なものを必要な時だけ取り寄せるサービスなどが広がる・・・

日本は豊かになったのですが、家が狭くなりつつあるのですね。理由の一つは、大家族から核家族、そして一人暮らしが増えたことによるのでしょう。また、都会では地価が高騰して、マンションが高くなったこともあると思います。
戦後豊かになった日本ですが、家は欧米から「ウサギ小屋」と笑われたように、残った課題です。

大震災、漁港復旧完成

7月26日に、福島県富岡町で、漁港の再開が祝われました。ほかの漁港に避難していた漁船が帰ってくるので、「帰港式」と呼んでいます。NHKニュース

これで、福島県でもすべての漁港の復旧が終わりました。課題は、水揚げと売り上げです。漁港や荷さばき場、水産加工施設が復旧しても、売り上げが戻らないと、復旧したとは言えないのです。まだ、規制がかかっている魚種があり、売り上げも戻っていません。次の課題です。