ジェイミー・デイヴィス著『人体はこうして作られる ひとつの細胞から始まったわたしたち』(2018年、紀伊國屋書店)が、興味深かったです。
一つの細胞から、私たち人体が作られます。それも直径0.1ミリメートルの細胞です。一つの細胞が、37兆個(と本書では書いてあります。60兆個という説もあります)に分裂します。
原題は「Life Unfolding」です。一つの細胞・遺伝子から、アミノ酸・たんぱく質を次々作ることで、遺伝子情報が人体を作り上げます。折りたたまれていた情報が、展開する印象がわかります。
人体の設計図が、すべて遺伝子に書かれているのではなく、たんぱく質の生成が書かれていて、それがある時期ある場所で発現することで、次々と機能ができあがります。脳ができたり心臓ができたり、血液ができたり・・・。設計図なしで、この人体ができるとは、不思議としか言いようがありません。
大昔の地球で、分子が結合してアミノ酸になり、いろんな条件の下、様々な試行錯誤の上に、いまの人体・人類ができあがっています。遺伝子も、アミノ酸の結合体です。他の生物も。神様がいないとすると、この過程はすべて、偶然が作り出したものです。
で、この本を読んでも、「まだまだわからないことが多いんだなあ」というのが、読後感です。
自然科学にとって、宇宙のなり立ち・物質のなり立ちと、生命・脳が、2大不思議でしょう。社会科学においては、「人間関係」が一番難しい不思議だと、私は考えています。