年別アーカイブ:2018年

慶應大学、地方自治論Ⅰ成績評価

2018年8月3日   岡本全勝

地方自治論Ⅰの試験の答案を採点しました。348人分です。ほとんどの学生が、A4用紙両面を使って、びっしりと書いていました。

問1は、地方自治の意義を問うものです。授業でも、「ここは試験に出しますよ」と予告しました。授業で配ったレジュメと資料も、持ち込み可です。問の文章に、必須の語彙は指示してあります。大半の学生は、きちんと回答していました。
残念ながら、合格点を与えることができない回答もありました。指示した語彙を並べるだけ、それも十分な説明ができていません。問に対する答になっていないのです。
また、「模範解答」が出回ったのでしょうか。同じようにまちがった答案が、たくさんありました。「国から一生の自立」は「国から一定の自立」の間違いでしょう。日本語としてもおかしいですよね。
他にも、「(地域で負担と受益を考えるより)国に要求すると満足度が高い」とか「中央政府の各省庁が地方出先機関を設置し、各種のサービスを供給した方が効率的である」とか。まちがった「模範解答」を写すのは危険です。

問2は、多くの学生が、書けていませんでした。問いは、自治体に、議会と首長の二元代表制以外の仕組みを導入することについてです。
授業では、ドイツの地方自治を例に、さまざまな形があることを示しました。また、国政は議院内閣制であることも、問の文章に書いてあります。少々考えれば、何らかの答えは書けるでしょう。
これも、間違った「模範解答」が出回ったのでしょうか。「条例の横出し上乗せ」や「議会と首長との牽制(再議など)」を書いている答案がたくさんありました。
想定していない問がでた場合(今回は予告したのですが)、どのように対処するか。「何でも書けば良い」ではありません。問と全く違った答を書くと、何も書かないより減点になる場合もあります。

問3は、それぞれに考えてもらう問です。誰にでも、何かは書ける問です。
授業中の小レポートで、自治体の政策を勉強してもらいました。それに答えた学生にとっては、簡単だったでしょう。しかし、小レポートを出していない学生や、授業に出ていない学生は、内容ある回答は書けなかったようです。
特に、政策を提案する際に、財源を考えず「ばらまき政策」になっている答案が多かったです。これは、減点です。

全く改行なしの文章もたくさんありました。困ったものです。小レポートの書き方指導で、注意したことなのですが。3分の1の学生は、ほとんど授業に出席せず試験だけを受けているので、このような注意もわからないのでしょう。
授業に出席した学生と、出席していない学生とで、成績が大きく別れる結果になりました。当然といえば当然です。「ノートや配付資料持ち込み可」という試験は、授業に出席せず試験だけ受けて及第点をとることができるほど、簡単ではありません。

社会はブラウン運動2 個人の動きもバラバラ

2018年8月2日   岡本全勝

「社会はブラウン運動」の続きです。前回はその前段として、生物の進化や人類の進化が、ある一定の法則が働いたのではなく、偶然の積み重ねだと説明しました。

社会を考える際も、統率の取れた集団がある方向に、そして全員が同じ方向に進むのではなく、各人の勝手な動きの結果が社会の変化だと考えるべきです。
社会は、個人のブラウン運動の集合と考えた方が、実態に合っています。誰か指導者がいてその人の指示の下に進む、あるいは多くの人が一定の目標を持って、社会を動かしていく。社会はそのようなものではなさそうです。

各個人は、考えも趣味も価値観もばらばらです。そして、その趣味や嗜好にそって行動します。例えば、体を動かすことが好きな人、スポーツは観戦する方が好きな人。音楽が好きな人にも、クラッシックが好きな人とジャズが好きな人など・・・。

では、そのばらばらな動きをする個体が、どのようにして一定方向に動くのか。動かすことができるのか。
動物には、走光性があります。ミドリムシや蛾が、光の方に向かって進みます。進化の過程で、そのような能力が身についたのでしょう。
人に当てはめると、ばらばらな人の群れが、何かのきっかけで、ある方向に向かって同じような行動をします。雨が降ってきたら、一斉に軒下に入るとか。

そのような「本能」でなく、人間には、意識して人を動かすことができます。
「政治」は、他者をこちらの思いに従って動かすことです。その際には、力ずく(強制)、計算(お金の力)、魅力(信仰や文化)によって、動かそうとします。しかし、「命も金も要らない」という人には、強制や金は効果がありません。
この項続く

進む復興、避難者数の減少

2018年8月1日   岡本全勝

復興庁が、全国の自治体の協力を得て、避難者数の調査をしています。平成30年7月の人数が、公表されました。約6万人の方が、避難しておられます。
この数字は、着実に減少しています。発災直後は約47万人、詳しい数字が取れた時は35万人おられました。「これまでの推移」。
ようやく、ここまで来ました。7年もかかっています。新しい町をつくるのに、場所を決めたり、山を削ったりと、時間がかかりました。

高台移転用地や公営住宅も、順次完成しています。津波被災地では、来年春にはほぼ完成します。「復興の道のりと見通し
避難者の方に、一日でも早く仮設住宅暮らしを終えて、恒久的な住まいに移ってもらうことが、復興庁の一番の使命です。

政府の信頼度、年金保険料納付率

2018年7月31日   岡本全勝

内閣の支持率などが、毎月のように報道されます。一つの参考にはなりますが。どこまで回答者が「本当のこと」を答えているか、疑問があります。選挙前に聞くと、「関心がある」「投票に行く」と答える人が多いですが、実際の投票率は、そんなに高くないこともあります。

このような世論調査でなく、国民の本音が出ている「指標」があります。例えば、国民年金の保険料納付率です。7月24日の読売新聞に、石崎浩・編集委員が解説しておられました。「国民年金納付 実質4割」。
国民年金は自営業者など、会社や役所に勤めていない人の年金です。強制加入です。
2017年度の納付率は、66%です。2011年度が最低で、59%でした。少し上がっています。しかし、1990年代半ばまでは、80%を超えていました。
もっとも、この解説では、この数字にはマジックがあると説明されています。貧しいなどの理由で、保険料納入を免除さえている人がいます。仮に、この574万人を計算に入れると、納付率は40%まで下がります。

それはさておき、保険料を納めないと、年金はもらえません。納めると、将来に年金給付として返ってきます。しかも、税金を投入しているので、かけた保険料よりたくさん戻ってきます。
しかし、「国営保険」が信用できないとして、納めない人がいるのです。政府の信用度が現れています。もちろん、その他の理由もあるでしょうが、少なくとも「貧乏で納められない」人は、先に述べたように免除されています。

80%あった納付率が、1990年代半ばから急速に低下しています。先日紹介した、自殺者が3万人を超えたのが、1998年です。バブル崩壊後、日本社会は確実に変わりました。
厚労省の資料では、年齢別の納付率も出ています。p5の図4と図5です。40歳以下の年齢で低くなっています。20代前半が高いのは、大学生が多くて免除されてるからでしょう。

和歌山県で震災対応の講演

2018年7月30日   岡本全勝

今日は、和歌山県市町村長防災研修会の講師に行ってきました。
和歌山県と奈良県(十津川)は7年前に豪雨による大きな被害を受けました。また、南海トラフによる巨大津波が予想されています。そこで、このような研修をしておられるようです。知事を含め、130人の方が熱心に聞いてくださいました。
災害は一つひとつ内容が違うので、これが定番の防災・救助・復興だというものはありません。しかし、経験しておくことや、経験談を聞くことはとても重要です。
和歌山県は、今回の西日本での豪雨災害についても、広島県に職員を送って応援するとともに、学ばせておられます。7年前に大災害を経験しておられますが、7年経つと、職員も異動しています。記憶を新たにする必要があるのです。

今日は、新幹線で新大阪まで2時間半、そこから特急で、和歌山市まで1時間の道のりでした。帰りも同じです。
慶應大学の期末試験の採点が残っているので、100枚持ち込んで、行きと帰りの新幹線でせっせと採点に励みました。
新幹線の中は、邪魔が入らないのではかどります。少々揺れることと、周りは夏休みの旅行客が多く「私は何でこんなことをしているんだ」と疑問がわくことが、欠点ですが(苦笑)。
昨日は富山へ、明日は福島です。