年別アーカイブ:2018年

希少価値と過剰と、書物の変化

2018年11月5日   岡本全勝

新聞の読書欄には、興味深い本が紹介されています。本屋に行くと、これまた面白そうな本が並んでいます。ついつい買ってしまいます。
しかし、1週間に読むことのできる量は限られていて、読まない本がたまっていきます。どうもいけません。
読むことのできる量だけ本を買えば、こんなことにはならないのです。でも、思ったときに買っておかないと、次いつ巡り会うかわからないし。何かの拍子に、読みたくなるのですよね。

子供の頃は、身近に本が無くて、それは貴重でした。弟と一緒に、学校や村の図書館の本を読みました。学生時代は読みたい本がたくさんあっても、財布と相談して、そんなにたくさんは買うことができませんでした。
社会人になって、そして給料が上がって、少々の値段なら悩まずに買うことができるようになりました。
他方で、出版される本の量が急増しました。新書版でも、岩波と中公と、講談社現代新書くらいだったのに。今や、数え切れないほどの出版社が新書版を出しています。

希少価値だった本が、有り余るようになって、消化しきれなくなりました。
最近は、考えを変えました。「買った本を、すべて読むことはあきらめよう」「こんな本もあるんだと、目次を見ただけでも満足しよう」「手元に置いておくことで満足することにしよう」とです。
辞書を全部読もうという人は、いません。何か知りたいときに、調べるためにあるのですから。それと同じと、割り切りますわ。目次を読めば良しとしましょう。
この項続く

時代を体現する指導者

2018年11月5日   岡本全勝

10月25日の日経新聞オピニオン欄、ギデオン・ラックマン、フォーリンア・フェアーズ・コメンテイターの「歴史に名残す? トランプ氏」から。
歴史に名を残す人物は、時代を動かした英雄の他に、時代を体現した人物もあるとの主張です。そして、トランプ大統領は後者に当たる可能性があるのです。

・・・ヘーゲルが生きていた時代の典型的な世界史的人物はナポレオンだ。ヘーゲルはナポレオンのことを「馬に乗った世界精神」と表現した。ヘーゲルの世界精神について筆者がこれまで読んだ定義の中で最もよかったのは、奇妙なことにフランスのマクロン大統領による説明だ。マクロン氏は独シュピーゲル誌によるインタビューでこう語っている。「ヘーゲルは『偉人』をその人物よりもずっと偉大な何かを実現する道具にすぎないとみていた……彼は、ある人物がしばらくの間、時代精神(世界精神)を体現することはできるものの、当人がその時必ずしもそれを明確に自覚しているわけではない、と考えていた」と。
トランプ氏がヘーゲルについて一家言あるとは思えない。だが、同氏は本能的に、ヘーゲルがまさに指摘したような自分でさえよく理解していないその時代の流れや力を体現し、それらを自分に有利に使える直観的な政治家なのかもしれない。対照的にマクロン氏は今のところ、教養はあるが、滅びつつある今の秩序を体現する存在のように見える。

では、もし将来の歴史家たちがトランプ氏を歴史的人物だと認めるとしたら、どういう意味で評価するだろうか。
まず、米国の外交方針について、エリート層の間で合意されてきた過去のやり方とは完全に決別した点が挙げられるだろう。歴代の米大統領は、米国の力が弱体化しつつあることを否定するか、ひそかに対処しようとするかのどちらかだった。だがトランプ氏は米国の凋落(ちょうらく)を認め、その流れを逆転させようとしている。手遅れにならないうちに世界秩序のルールを米国有利に書き換えようと努力する中で、米国の力を容赦なくあからさまに振るった、と、未来の歴史家は書くだろう、そして以下のように続ける。
特に、歴代大統領がみな信奉してきたグローバル化は実はひどい考え方で、それが米国の力を相対的に低下させ、国民の生活水準を押し下げてきたと同氏は断じた。30年以上にわたる実質賃金の伸び悩みや目減りを経験してきた米国民は、同氏のメッセージを受け入れた・・・

・・・一方、内政面では、未来の歴史家は、トランプ氏が米国のエリート層の見解と一般大衆の意見の間に、大きな隔たりがあることに最初に目を向けた大統領だったと記すかもしれない。移民や貿易、アイデンティティー政治(編集注、民族、宗教、社会階級など構成員のアイデンティティーに基づく社会集団の利益のために政治活動すること)などの幅広い問題を巡る考え方の違いに、だ。
同氏はこの分断を、最初は大統領候補として、その後は大統領として徹底的かつ効果的に活用した。トランプ氏は、従来の常識では政治家としては致命的といえるような言動をとってきたが、彼の本能の方が専門家の分析より優れていた。高齢(72歳)にもかかわらずニューメディアを「理解」し、ほかの政治家には及びもつかないほど見事に使いこなした――。こう記されるかもしれない・・・・

原文をお読みください。

横山崋山展

2018年11月4日   岡本全勝

横山崋山という画家を知っていますか。今日、東京駅のステイションギャラリーで、展覧会を見てきました。毎週、東京駅を使っているのですが、立ち寄る機会がなくて。
お勧めです。こんな立派な画家がいたのに、知りませんでした。会場にも、なぜ忘れられたかを解説してあります。

今日はそのほかに、山種美術館「日本画の挑戦者」と、三井記念美術館「仏像の姿」も見てきました。
後者は、小ぶりな仏像にも優れたものがたくさんありました。東京藝術大学保存修復彫刻研究室による、模刻もなかなかのものです。会津慧日寺の本尊作成ビデオも面白かったです。
もういくつか見たかったのですが、時間切れになりました。

匿名の投稿2

2018年11月4日   岡本全勝

先日の「匿名の投稿」について、知人が教えてくれました。
「このような人たちは、インターネットに載せる際に広告を載せて、広告料収入を得ています。閲覧回数が多いほど、収入が増えるので、なるべく人目を引くような記述をします。すると、まっとうな意見を書くより、極端な意見を書く方が、目立つのです。褒めるよりけなす方が、見てもらえるようです」と。
なるほどね。残念なことですね。

あなたにとってかけがえのないもの、お国柄の違い

2018年11月4日   岡本全勝

10月25日の朝日新聞国際面「サマータイム ドイツの憂鬱」。この記事は、ヨーロッパで実施されていたサマータイムが、来年で終わる見通しになったこと、特にドイツでは嫌われていたことを紹介した記事です。紹介したいのは、その本筋とは異なった部分です。次のような文章がありました。

・・・世論調査会社フォルザが3年前「あなたにとって、かけがえのないものは何か」とドイツ人に複数回答で尋ねた。最も多かったのが「時間厳守」で90%の人が選び、2位以下の「子ども」(73%)、「セックス」(68%)、「クリスマス」(67%)を大きく引き離した・・・

ふ~ん、ドイツ人にとっては、こうなるのですね。夫や妻が上位に出てこないのは良いのでしょうか。
では、日本人ではどうか。国際比較、年齢別比較などを見てみたいですね。そして、私やあなたならどうでしょうか。

また、この質問の興味深いのは、時間厳守、子供、クリスマスなど、信条、行為、ものなど、およそ比較対象としては同一に並べられないものを、比べていることです。
しかし、日常生活そして人生では、比較不可能なものを選択しなければならないことがしばしばあります。「難しい判断、比較不能なものの選択