1998年、自殺者3万人に

7月22日の朝日新聞連載「平成経済」は「倒産にパワハラ・・・自殺急増」でした。

・・・1998年、日本の年間自殺者数は3万2863人になった。97年までの20年間は多くて2万5千人台だったので、異常な増え方だった。
その後も2003年の3万4427人をピークに、年3万人超えが続く。しかし、「自殺対策基本法」ができたのは06年。自殺は個人の心の問題だから、と法律づくりが遅れたのだ。
NPO「自殺対策支援センター ライフリンク」(東京)は08年、こんな推計を公表した。
98~07年の10年間を、もし97年と同じ自殺数で推移していたとして比べると、経済的損失は全部でいくらになるか。結果は、4兆3900億円!
「社会の生きづらさ、息苦しさなどを数字にしてカウントしたら、経済的損失はケタ違いになります」と、代表の清水康之さん(46)。
ライフリンクをおこして14年、清水さんは「生き心地のよい社会」をめざしてきた。清水さん、平成はどんな時代だと言えますか?
「日本の化けの皮がはがれた時代、ですね」
敗戦後の日本は、どんどん豊かになると思っていた。それは幻想だった。倒産、リストラ、低賃金。セーフティーネットもなく人々が追い詰められる。日本はそんな国だった。

とはいえ法律ができ、国、自治体、企業、民間団体が対策に取り組んできた。その結果、12年に自殺者は2万人台に戻り、減少傾向が続いている。
もっとも、自殺者が減ってきたことを、手放しで喜ぶことはできない。
厚生労働省は18年版の自殺対策白書で、今の日本でも人口10万人当たりの自殺者数「自殺死亡率」は世界ワースト6位と位置づける。
さらに、佐藤久男さん(74)は言う。秋田市にある自殺対策のNPO「蜘蛛の糸」、その理事長だ。
昭和は「1億総中流社会」だった。平成で「格差社会」になり、格差が固定化してきている。「がんばってもはいあがれないと、人は絶望へと追い込まれかねません。富める者から富めない者へおカネが回る循環型経済にしないと、危うい」・・・
詳しくは、原文をお読みください。

7月21日の日経新聞連載「平成の30年」は「脱・会社人間 模索続く働き方改革」でした。こちらもあわせて読んでください。
栄養ドリンク「リゲイン」のCM「24時間戦えますか……」、「5時から男の、グロンサン」も出てきます。
ところで、グラフに総実労働時間の推移が載っているのですが、「1985年175.8時間、2017年148.4時間」とあります。これは何を表しているのでしょうか。年間労働時間は「1993年の1920時間から、2016年の1724時間まで減った」と記事にはあります。

不正がばれたとき

7月23日の朝日新聞朝刊1面トップは、「品質認証機関が不正 JIS、無資格や手抜き」でした。
国家規格JISや国際規格ISOの認証機関が、不十分な審査で企業に認証を与える不正をしていたとのことです。
認証機関が適正に活動しているかをチェックする公益財団法人「日本適合性認定協会」が見つけたとのこと。そんな仕組みがあるのですね。

詳しくは、記事を読んでいただくとして。興味を引いたのは、次の部分です。
・・・LRQA(問題となっている認証機関)は不正や処分について「お客様との守秘義務の関係上、情報をご提供することは差し控えます」としている・・・

わかりやすい対応ですが。
認証機関にとって、「顧客は契約相手の会社であって、世間や国民はその次」という考えでは、信頼回復は難しいでしょうね。

原真人記者、リーマンショックを考える

7月21日の朝日新聞読書欄に、原真人・編集委員が「リーマンショックから10年 人類史レベルで変化を考える」を書いておられます。

・・・世界経済を震撼させたリーマン・ショックから今年で10年。「百年に1度」と言われたあの危機は多くの教訓を残した。だが、のどもと過ぎれば熱さ忘れるの例えどおり、住宅バブルの崩壊で痛い目にあった反省はどこへやら。いま私たちが目の当たりにしている世界経済はリーマン直前をもしのぐ資産バブルのふくらみようである。
率直に言って、近い将来、世界規模でのバブル崩壊が再び起きる可能性は小さくない。10年前の教訓をいま改めてかみしめておく価値は十分ある・・・

として、リーマンショックを考える図書を紹介しておられます。それも、単に羅列するのではなく、それら図書の持つ意味も解説してあります。例えば、関係者の回顧録は貴重ですが、自分の行動を正当化しがちです。
近過去の歴史を勉強することは、難しいです。教科書にはまだ載っておらず、定番の解説書がどれなのか。一般人には、わかりません。このような読書欄での紹介は、役に立ちます。

そして、最後に次のように締めくくっておられます。
・・・リーマン後の経済状況を短期でなく、もっと長い時間軸でとらえ直そうという本の出版が増えているのも最近の傾向だ。
『世界経済 大いなる収斂』は、ICT(情報通信技術)革命でアイデアの移動コストが極端に下がり、世界の富と知識の分布が急激に変わる姿を描く。
経済成長やグローバル化を当たり前のものでなく相対化してとらえ、人類史レベルで世界経済の変化を考える。そんな機運が生まれたのも、一種のリーマン効果と言えるかもしれない・・・

政策の検証

7月12日の日経新聞に「成長戦略、検証なき膨張  工程表3倍でも目標達成率は低下」が解説されていました。
・・・政府の成長戦略への関心が下がっている。安倍政権で6回目となる今年の戦略は世界的なデジタル革命への対応などを打ち出したが、株式市場はほとんど反応しなかった。新たなテーマを毎年加えたことで目標実現への工程表は初回から3倍に膨らんだが、目標達成が厳しくても検証が不十分なままの政策も多い・・・

・・・成長戦略は規制緩和など制度改革を伴うので金融・財政政策よりも成果が出るまで時間がかかる。このため、戦略に盛った政策はKPI(重要業績評価指標)と呼ぶ目標を設け、達成までの数年間の工程表を示す。
工程表は肥大化している。2013年に安倍政権が初めてつくった成長戦略の工程表は48ページだったが、新たな政策が加わり続けた結果、18年版は147ページもある。
政府が1月に評価したKPIの進捗状況をみると、目標達成に向けて順調な項目は全体の45%と前年の51%から下がった。目標を引き上げたことで未達になった項目もあるが、工程表に新たな目標が加わったことも達成率を押し下げている。
過去の検証はおざなりだ。例えば産業の新陳代謝を促す観点から掲げた開業率・廃業率の引き上げ。「米英並みの10%台に高める」という目標を最初の戦略から掲げてきたが、直近16年度の廃業率は3.5%と15年度よりも下がった。それでも目標達成への補完策は打ち出していない・・・

検証の重要性を示す、良い解説記事だと思います。
もちろん、打ち出す政策が、すべてうまくいくとは限りません。このような批判に、政府はどう答えるか。それによって、政策がよいものとなっていきます。
マスコミはとかく、政府の政策について、会社の商品について「新しく打ち出した」といったニュースを書きますが、その政策がどのような結果になったか、どのような成果を生んだかは伝えません。特に、うまくいかなかったものについては、政府も会社もだんまりを決め込みますから。
記者が、省庁や会社の「記者発表」を追いかけている限りは、そのような「提灯記事」になる恐れがあります。

続く猛暑

日本列島は、暑い日が続いています。熱中症について、たくさんのニュースが伝えられています。子供や高齢者が亡くなっています。

私が子供の頃は、こんなに暑くなかったように記憶しています。学校はもちろん、家にも、父親の自家用車にも、冷房はありませんでした。
冷房のない教室ですが、汗でびっしょりになりながら、本を読んだとかノートを書いたといった記憶はありません。
夏休みは、麦わら帽子を被って、セミ取りに精を出していました。午後は昼寝をしていましたね。この時は、汗をかいていました。夜は、蚊帳をつって寝ていました。
明日香村は田舎ですが、大和盆地ですから、決して涼しいところではないはずです。

今年の夏は、書斎でこのホームページを加筆するにも、本を読むにも、冷房なしでは無理です。そんなに高温になったのでしょうか。
テレビでは、日中の外出を控えるようにと、くり返し注意を呼びかけています。
今日は孫と公園のジャブジャブ池に行きましたが、午前中で帰ってきました。新宿までの散歩は、一駅分1キロメートルで断念し、地下鉄へ。紀伊國屋は冷房が効いていて、寒いくらいでした。
毎週、同じことを書いています。