慶應大学、公共政策論・成績評価

公共政策論の成績評価を終えました。今回も、レポート提出です。10枚前後の力作が多かったです。
出題の際に、書式や入れるべき要素などを指示していたので、多くの学生はそれを守ってくれました。また、授業の中で小レポートを書かせ、書き方指導もしたので、ほとんどが読みやすいレポートになっていました。小レポートに比べ、格段に良くなっています。書き方指導の効果が、出ています。
これは、学生にとっても書き方が身につくとともに、論旨がはっきりして、読む私にとっても読みやすいのです。
これらを満たしていない学生もいました。今回も1ページ以上にわたって、改行がないものなどがありました。彼らの出席状況を見ると、全く授業に出ていない学生や、ほとんど出ていない学生です。もったいないですね、出席しておれば、文章の書き方を身につけることができたのに。

さて、内容についてです。
学生たちは、まざまな社会問題を取り上げていました。少子高齢化、子育て、セクハラ、LGBT、貧困、格差、ブラック職場・過労死、さまざまな差別、過疎化、産業空洞化、政治への関心の低下・・・。
それら課題を調べることと、参考文献を読むことについては、ほとんどの学生が良くできていました。これができているレポートには、Bをつけました。
次に、対策の提案です。これは、ばらつきがありました。これまで取られている対策を評価し、メリットとデメリットがしっかり書けているものには、Aをつけました。
その中でも、特に良くできているものには、Sをつけました。

これからも、社会の問題に関心を持ち、ニュースや書物を読んでください。また、文章の書き方も訓練を重ねて、磨きをかけてください。
皆さんの活躍を期待しています。

慶應大学、地方自治論Ⅰ期末試験

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅰの期末試験をしました。348人が受けました。1教室に入りきらず、2教室に別れてです。ふだんの授業の出席者は170~200人なのですが。明日から、採点をします。記述式なので、読むだけでも大変です。

もう一つの、公共政策論は、レポートです。78人が提出したので、いま読んで採点しているところです。これも力作揃いで、読むのに時間がかかっています。

サイバー攻撃を予防するサービス

サイバー攻撃・サイバー犯罪が問題になっています。情報を盗まれたり、お金を盗られたりします。個人や会社のパソコンが乗っ取られて、パソコンが使えなくなったり、知らないうちに悪事に加担させられたりとかも。
一般人にとって、パソコンやインターネット自体が「便利だけど、仕組みはよくわからない装置」です。世界中と簡単につながる便利さが、危険を伴います。
新しい社会のリスクの一つです。とはいえ、パソコンやスマートフォンなしの生活は、ほぼ考えられません。

では、どのようにしてリスクを防ぎ、損害を減らすか。利用者の教育、プロバイダーなどによる規制と制限、犯罪者の摘発などが考えられます。
しかし、パソコンとインターネットの普及が近年のことであり、また急速に技術が進歩することから、対策は容易ではありません。
私自身が、サイバー攻撃というものを知ったのは、近年のことです。職場で、危険性と対応の研修を毎年受けることで、勉強しています。でも、このような職場は少ないでしょう。学校教育では、どれだけ組み込まれているのでしょうか。

企業が抱えるリスクを予防する、サービスを教えてもらいました。
損保会社が提供する、「サイバーインテリジェンス情報分析サービス」です。
攻撃の兆候がないか、データ漏えいが発生していないか、フィッシングが起きていないか、偽情報でブランドを棄損されていないかなどを、調べてくれるそうです。
犯罪にあってからでは遅い(被害救済はむつかしい。警察に届け出ても対応はむつかしい)ですから、このような予防が効果を持ちます。
これも、企業の(本業による)社会貢献です。

その説明についてる図が、勉強になりました。インターネット空間には、3層のものがあるのですね。
1 グーグルなどで検索可能な「公開空間」。Clear Web。
2 検索はできず、パスワードがないとみることができない「関係者限りの空間」。Deep Web。
3 匿名性が保たれる「見えない空間」。Dark web。ここが犯罪に利用されます。

社会はブラウン運動1 人類の進化は偶然の積み重ね

歴史を見る時、「単線的思考では視野が狭い」という議論を続けてきました。その続きです。しばらく、放ってありました。この分野「ものの見方」は不定期連載です。

今回は、歴史はある法則に従って進んでいるのではなく、ジグザクに動くという話です。その基礎には、人の動きはブラウン運動的であることがあります。
ブラウン運動は、微粒子が不規則に動き回ります。人の動きは、このブラウン運動に似ています。各自の考えや好き嫌いで、各々が思う方向に動きます。もっともブラウン運動は、微粒子は自分の考えて動いているのではなく、液体の方が動いていて、その上に浮かんでいる微粒子が動いているのが観察されるのですが。
この反対は、指導者の指示を受け入れて、各個体が一定の方向に動きます。あるいは、歴史の法則に沿って、社会が発展します。しかし、実際はそうではないのです。

この考えを説明する前に、人類の進化について触れます。
人類の進化の解説書を読んでいると、人類も神様が作ってくださったのでもなく、一定の法則や道筋で進化したものでもないようです。
アフリカの森に暮らしていたサルの一種族が、森を追い出されました。暮らしやすい森を追い出されたのは、弱かったからでしょう。競争相手に負けたのです。
弱い動物ですから、肉食獣に食べられたものも、たくさんいました。その過程でたくさん死んでいます。死に絶えた種もあります。
彼らが、生きていくために、いろんなことに挑戦しました。二本足になったり、手を使ったり。家族で協力したりと。幸運に、生き残ったのが私たち人類です。

人類に限らず、生物の進化は、偶然の積み重ねです。進化は、ある目的を持って進んではいません。突然変異が繰り返され、その中で生き延びたものが、生き残っていく。さらに変化が繰り返され、うまく適合したものが生き延びます。
法則があるとするなら、これが法則でしょう。

脱線すると、人類は強いが故に生物の頂点に立ったのではなく、弱いが故に強くなったようです。道具を使うようになり、智恵を使うようになってです。人類もまた、偶然の中からできたのです。森の中で苦労せず、おいしい木の実を食べていた強いサルたちは、そこから進化はしませんでした。しなくても、暮らしていけたのです。
その後の社会の発展も、同じです。故郷を追われた(弱い)人たちが、新天地で新しい生活を始めます。例えば、イングランドを出て、アメリカ大陸でニューイングランドをつくった人たちです。もちろん、全員がうまくいったわけではなく、冬を越せなかった人たち、失敗した人たちも多かったのですが。
この項続く

千葉県町村会研修

今日7月25日は、千葉県町村会・総務課長研修で、17人の総務課長さんに講演してきました。
町村役場では、総務課長は、町村長・副町村長に次ぐ、ナンバー3です。仕事はもちろん、組織と人事管理を背負っています。
「このようなことに悩んでおられるだろう」と考えて、仕事の仕方、特に部下指導についてお話ししました。
50歳を超えた方々なので、90分座って聞くのはしんどいだろうなと思いましたが、全員熱心に聞いてくださいました。もっと笑ってくださっても、良かったのですが(苦笑)。

最近、『明るい公務員講座』を読まれた自治体から、研修の講師依頼がいくつもあります。拙著が他に類書がないように、このような内容をしゃべる講師がいないのでしょうね。