福島県議会勉強会

今日2月26日は、福島県議会勉強会に呼ばれて、話をしてきました。
福島県議会の議員さんを相手に、復興の話をするのは、いささか難しいです。現場のことは、議員の方がよくご存じです。そこで、全体から見た整理をしました。
津波被災地との違い、時間と地理的条件の違いなどです。一番の違いは、原因である水と放射能の違い、それが去るまでの時間の違い、それが及ぼす復興条件の違いです。そして、天災と人災の違いです。
津波被災地では、住宅の完成など、先が見えてきました。しかし、原発被災地での復興は、まだ時間がかかります。

安くないアマゾン?

本を買う時、アマゾンを重宝しています。
古本を探す時に、古本屋に行かなくても、パソコンで探すことができます。書名を正確に覚えていなくても、だいたい探し当てることができます。しかも、安い順に並んでいます。そして、自宅まで郵送してくれます。これは便利ですわ。

新刊本でも、高価な本になると、アマゾンで調べてみます。中古が出ていると、安いのでそちらを選びます。
ところが、新刊本で定価より高い場合があるのです。先日、近くの本屋になかったので、アマゾンで買いました。中古がなかったので、新刊本です。ところが、届いた本の定価をみて、??? 本に書かれている定価より、アマゾンの価格の方が高かったのです。
アマゾンで別の本を探していて、わかりました。「カスタマーレビュー

2月下旬

2月も25日、もうすぐ3月です。東京は、寒さが戻ってきました。
わが家の椿は、次々と花を咲かせています。メジロが来て蜜を吸うので、花びらはすぐに傷みます。ご近所の紅梅白梅が、咲きました。ミモザ(フサアカシアと呼ぶそうです)の、鮮やかな黄色い花も咲き始めました。

少しゆっくりした休日を、過ごしています。連載など締めきりに、追われていないからです(笑い)。
「明るい公務員講座」は、「単行本その2」がゲラになり、二校を編集長に返して、一休み。日経新聞夕刊コラム連載も、原稿を送って、少々余裕あり。
大学は、先日に追試の採点を終え、来学期は4月からなので、これも余裕。
講演会は、来週分と再来週第1回分の準備ができたので、余裕あり。

孫を公園に連れて行ったり、新宿紀伊國屋まで往復散歩したり。山種美術館の横山大観展が25日までだったのに気づいて、急きょ行ってきました。日本画は良いですねえ。
肝冷斎は、早速、野球を見るため、沖縄遠征です。

昭和モデル経済の崩壊がもたらしたもの

朝日新聞が経済面で「平成経済」を連載しています。第2部は「昭和モデルの崩壊」です。戦後に生まれ、高度成長を経験し、平成を官僚として過ごした私には、身近な話題ばかりです。経済の変化が政治の変化を生んだ例を、2つ紹介します。

2月11日は「非正社員、守らぬ労組」でした。
戦後、労働組合は、非自民勢力の中核として、輝いた時期もありました。労働者の地位を向上させる、政治では革新的主張をする存在として。
しかし、ある時期から、組合員の既得権を守る保護集団に変化しました。「市民との連帯」も空しくなりました。企業が正規職員の待遇をそれなりに引き上げると、労働組合の存在理由が低下しました。他方で非正規職員が増え、その待遇が問題なのに、労働組合は正規職員を守ることを優先したのです。経済・社会の状況が変わったのに、自らの変革に失敗したのです。
さらに、賃上げについては、近年は政府が主導するという、労働運動からは「奇妙な」構図になっています。

「昔陸軍、今総評」と呼ばれた時代もありました。「スト権スト」を打って、国鉄を長期間止め、国民の支持を失いました。国鉄の労組(先鋭的部分)は、最終的には国鉄解体を招きました。彼らは、自らの行動をどのように評価(総括)しているのでしょうか。
意図したことと全く違った結果を招く。しかも、自らの存立する組織をつぶしてしまう。旧日本軍とともに、政治学や組織の責任者にとって、大きな研究事例です。

2月18日は、「財界、団結から分散へ」でした。
労働組合が強い時代は、経営者側は、会社経営にあっては労働組合との対決、政治にあっては社会党との対決(自民党支援)が重要でした。しかし、労組が力を失うとともに、財界の使命も変わってきたのです。

山極寿一・鎌田浩毅 著『ゴリラと学ぶ』

山極寿一・鎌田浩毅 著『ゴリラと学ぶー家族の起源と人類の未来』(2018年、ミネルヴァ書房)を紹介します。面白くて、一気に読み終えました。

鎌田浩毅・京大教授が聞き手となった、山極寿一・京大総長との対談です。山極先生は、ゴリラ研究で有名です。本書の前半、どのようにしてこの研究に進んだか、現地調査での死の危険を伴う調査など、体験談は興味深いです。
多彩な経験をされた方、これまでにない業績を上げられた方の体験談とそれに基づく話は、面白いですね。学問や研究が、透明な空気の中でできるのではなく、ある人の営みの中でできあがることがよくわかります。若き研究者に読んでもらいたい本です。
後半では、ゴリラの家族研究と、それを通じた人類の起源やあり方の議論です。行動生物学や社会生物学との違いが、よくわかりました。なぜ人類は家族を持つようになったのか。副題に「家族の起源と人類の未来」とあります。

鎌田先生は、上手な聞き手です。相手の話を発展させ、あるときは本筋に戻しと。また、巻末の「講義レポート」もよいですね。単なる対談のしっぱなしではなく、これがついていることで、価値が上がります。

書店のホームページでは、次のように説明されています。
「〝知の伝道師〟鎌田浩毅が受け手となる講義形式で、斯界の第一人者の人生・思想に鋭く切り込むシリーズの第一巻。ゴリラ研究のパイオニア、山極寿一京大総長を迎え、第Ⅰ部でその半生に迫る。第Ⅱ部では霊長類学の世界へを踏み入れ、われわれ人類の起源と未来を縦横に語る。五感をフルに使い、研ぎ澄まされた直観がつかむ「曖昧なもの」に導かれた豊かな知が溢れる一冊」
ミネルヴァ書房は良い研究書とともに、人物評伝もたくさん手がけています。このシリーズも期待ましょう。