年別アーカイブ:2017年

公共インフラの本格復旧・復興の進捗状況

2017年3月1日   岡本全勝

復興庁では、四半期ごとに、公共インフラの本格復旧・復興の進捗状況を見やすい形で公表しています。平成29年1月末時点の数値がまとまりました。
見ていただくとわかりますが、災害公営住宅は78%完成し、高台移転の宅地造成は60%になりました。3か月前に比べて、それぞれ8%と7%の増加です。このような工事は、2年かかるとして(もっとかかるのですが)、1か月ごとに4%ずつ完成するのではないのです。基礎工事に半年かかり、それから躯体工事、仕上げと進みます。1年経っても完成割合はゼロです。そして、後半になると次々と完成するのです。
住民の意見集約、用地買収、大規模工事と、これまでにないことに努力いただいた関係者に、お礼を申し上げます。

先日も、「阪神淡路大震災際の時は、もっと早く工事が終わっていた」と指摘する人がいました。遅れているか所について「復興庁は、もっと早くできないのか」とおっしゃる方もいます。
その方には、東日本大震災の現場を見て欲しいです。住民が意見集約するのに時間がかかることを、理解しておられません。国が場所と新しい町並みを決めて工事をすれば、もっと早くできたでしょう。でも、それで住民の方々は納得したでしょうか。町は、国が作るものでしょうか、それとも住民が作るものでしょうか。
復興で時間がかかっているのは、高台移転、土地区画整理、住民の意見を聞いて計画を見なおしている防潮堤です。これらに共通するのは、「住民の意見を聞いて、その意見の集約に時間がかかっていることです。

朝日新聞に登場しました、官僚の役割

2017年3月1日   岡本全勝

今朝3月1日の朝日新聞政治面に、登場しました。「民主党政権後に加速した官邸主導 省庁の発信消えた」。
・・・麻生官邸で首相の日程調整を切り盛りした総務省出身の岡本全勝氏は、各省庁の発信と報道機関の取り上げ方に注目。「役所が発信しなくなった。新聞の1面に個別の省庁が発表した記事が載ることは、統計資料を除いてほとんどない」と分析する・・・。

補足すると、私は首相官邸と各省とで、そして政治家と官僚とで、役割分担があると考えています。もちろん、総理の指示で各省大臣が動き、大臣の指示で官僚が動きます。それを前提としつつ、官僚には政治家にない役割があります。
各省の役人は、それぞれの分担している政策において専門家です。その経験と知見で課題を発見し、対策を考える。また、総理や大臣から指示のあった課題について、対策を考えます。それを大臣と議論しつつ、政策を練っていくのです。官僚、特に幹部はもっと政策を世に問うべきであるというのが、私の持論です。
官僚が、官邸や大臣の意向に反して意見を公に発言するのは、よくないことです。よほど政治家が間違っているならともかく。上司を批判するなら、直接申し述べるのか、職を辞して行うべきです。
もっとも、私が主張しているのはそのような事態ではなく、自分の所管の行政について課題を整理し、将来への方向性を示すことです。

主な著作

2017年3月1日   岡本全勝

最近の主な著作です。その他の著作は「著作一覧」のページを見てください。最近の新聞記事などは「新聞記事など」のページをご覧ください。

【連載中】
・「公共を創る」時事通信社『地方行政』に2019年4月から毎週木曜日(月3回)掲載
・『時事通信社コメントライナー』に2022年1月から不定期掲載「目次」目次2
・(大震災復興に関する記事の整理)2021年3月11日「復興10年での振り返りなど

【単行本など】

     『Public Administration in Japan』(2024年、Palgrave Macmillan)

 

明るい公務員講座 管理職のオキテ』(2019年、時事通信社)

日経新聞夕刊1面コラム「あすへの話題」連載(2018年1月~6月)

 

明るい公務員講座 仕事の達人編』(2018年、時事通信社)

明るい公務員講座』(2017年、時事通信社)

2016hukkou

東日本大震災 復興が日本を変える-行政・企業・NPOの未来のかたち
(2016年、ぎょうせい)

原発事故避難指示、2町を除きかなりの地域で解除

2017年2月28日   岡本全勝

今朝の朝日新聞1面トップは、「原発避難、今春4町村3.2万人解除 困難区域なお2.4万人」でした。この記事を読んでいただくとわかりやすいのですが、事故後に11市町村、約8万人に出されていた避難指示は、この春で、約7割が解除されます。
避難指示が継続しているのは、町の多くが帰還困難区域になっている双葉町と大熊町の全域、それに浪江町、富岡町、飯舘村、葛尾村、南相馬市の一部(帰還困難区域)です。
後者の5市町村では、町の中心部は避難指示が解除され、町としての機能を復旧できます。双葉町と大熊町は、町の一部に復興拠点を作って、町の復興の足がかりを作ります。
その結果、避難指示を解除できる区域は、この春にほぼ解除するということです。
原発事故被災地では、新しい段階に入ります。もっとも、避難指示解除は、復興の出発点に立ったと言うことです。津波被災地で例えれば、津波の水が引いたという状態です。記事でも指摘されているように、住民に帰ってもらうために、商店、病院、学校、働く場など、生活に必要な環境を整える必要があります。

自主避難者の意向調査

2017年2月28日   岡本全勝

原発事故の避難指示区域以外から避難した人、いわゆる「自主避難者」については、これまで住宅を無償で提供してきました。無償提供を終了するので、その後の住まいについて、意向を聞きつつ、次への支援をしています。福島県が戸別訪問をしています。最近の調査結果が公表されました。「避難指示区域以外からの避難者の4月以降の住まいに関する意向」。
それによると、未確定だった人も、順次、次の住まいを決めておられます。未確定は、1万1千世帯のうち、250世帯で約2%です。

これは、津波被災地域での仮設住宅終了でも、よく似た事情があります。窮屈な仮設住宅での生活を続ける人には、それなりの事情があります。
・5年も住んだので、その仮設住宅を離れがたい人。友達もできています。「この歳になって、新しい住宅もねえ」とおっしゃる方もいます。
・高齢になって、判断ができない人。
・すこしでも無料の住宅にいたい人。
などです。それぞれに戸別訪問をし、マンツーマンでの相談に乗って、次の住宅をお世話しています。仙台市も、このような取り組みで、たくさんあった仮設住宅を終了しました。ほかの市町村も、そのような取り組みをしています。

原発事故で避難しておられる方にも、同じように相談に乗って、次の生活を選んでいただくのが良いと思います。すなわち、
・戻れる人には、戻ってもらう。
・「帰還条件がそろうまで待つ」という方には、県内に造った公営住宅で待ってもらう。
・「帰還するのは不安だ」という方には、避難先で定住していただく。
だと思います。
「戻りたくない」という方に、帰還を勧めたり、このまま長期間にわたって「避難者」という分類にしておくのは、よくないことでしょう。その際に、生活について相談に乗ることが重要です。