平成29年大晦日

今日は12月31日。平成29年も終わりですね。皆さんにとって、今年はどのような年だったでしょうか。

世界では、紛争、移民、格差など、いろんな社会問題が続いています。日本では、少子高齢化、地域の活力低下、非正規雇用の不安、子ども貧困などが進んでいます。これらは大事件でなく、静かに進む緩慢な変化です。しかし、このような変化が、社会を変えていきます。将来、振り返ってみると、大きな問題だったことが分かるでしょう。これらの問題についての回顧は、専門家に譲りましょう。
私の仕事や私生活については、回顧1回顧2回顧3に書いたとおりです。年を取ったからか、時間が経つのが早いです。一日一日も、1年も。昨日も、カレンダーを取り替えながら、「平成29年も早かったなあ」と振り返っていました。
大きな変化なく、相変わらずの生活を続けています。大きな病気やけがもせず、健康に暮らせる。それが良いのでしょうね。関係者、家族、神様に感謝しなければなりません。

今日の東京は寒いですが、穏やかな年の瀬です。今年も日本一の蕎麦打ち名人のお蕎麦を食べて、年を越します。
皆さん、よいお年をお迎えください。

平成29年の回顧3、生活

平成29年の回顧、その3は生活についてです。(その2

1年半前に公務員を退職しましたが、常勤的非常勤公務員を続けているので、生活はあまり変わりません。毎週の福島勤務があるので、大変ですが。今年はさらに、慶應大学での講義を持っています。準備に時間がかかるので、けっこうな負担です。自ら望んでやっているので、不満はありません。

毎週の連載「明るい公務員講座」を抱えていたので、いつも鞄に書きかけの原稿を入れて、新幹線の中など隙間時間を見つけては、加筆しました。この連載は終わったのですが、本にするため、これまたゲラを鞄に入れて隙間時間に加筆しています。
講義の準備と原稿が、毎週追いかけてきます。常に締めきりに負われる生活です。でも、締めきりがないと、進まないでしょう。
夜の異業種交流会も、減りません。いろんな方が、誘ってくださいます。

相変わらず本屋に行っては、たくさん買い込んで、読まない本がたまっていきます。机に向かっている時間は、原稿書きとこのホームページの加筆で終わってしまいます。本を読むのは、布団の中だけになります。それでは、あまり読めませんねえ。
書斎と寝室が、だんだん本の山で埋まりつつあります。これは、なんとかしなければなりません。ためしに、春にブックオフに約100冊持っていったのですが、効果なし。その後は、読んだ本を、知人に「これよかったよ、読んだら」という推薦の形を取って、贈呈して(引き取ってもらって)います。

家族では、夏にはキョーコさんと、アメリカ東海岸旅行を決行しました。これは、35年ぶりという大快挙です(笑い)。毎週のように、孫の相手をさせてもらっています。これが一番疲れます。笑い。
フルートを再開すべく、新しいのを買ったのですが、これも本格的着手はできず。
結論、大きな変化のない1年でした。それが良いのでしょう。

さて、明日は大晦日。わが家は門に松飾りを付け、カレンダーを掛け替え、正月の鯛も予約してきました。

玉木林太郎さん、政策を議論する場

12月28日の日経新聞「私見卓見」、玉木林太郎・国際金融情報センター理事長(前OECD事務次長)の「政策を議論する「場」を東京に 」から。

・・・もう一つ東京にほしいものがある。政策を議論するための開かれた「場」である。経済、社会、外交、環境、文化など広く公共政策と呼ばれるものについて考えを提示し、質問や反論を受ける常設のフォーラムだ。ジェンダーやサスティナビリティなど今の日本でもっと取り上げられるべきテーマはいくつもある。
政策の決定には国会をはじめ別の仕組みが用意されているが、その周辺にあって普段に識者の「卓見」を聞き、考える機会を人々に与えるような場がほしいのだ・・・
・・・全国にコンベンションセンターや会議場はたくさんあるが、必要なのは建物ではない。テーマと問題点をうまく設定し、研究者と関心ある聴衆を集めるコンビーニング・パワー(召集力)である。
あえて海外の例を挙げると、米国の外交問題評議会、ロンドンの王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)、ブリュッセルのブリューゲル研究所などだろうか。高等教育機関に付属するものでもいいが、国の関与は必要なく、非営利でなるべく党派性の薄いものがよい。OECD自体も、国際機関という形で似たような機能を果たしているのかもしれない・・・

全文をお読みください。これは、ソフトパワーの代表ですね。

平成29年の回顧2、執筆など

平成29年の回顧、その2は執筆活動についてです。(その1

2015年11月から始めた「明るい公務員講座」は、「初級編」35回、「中級編」42回の連載を終えました。よく続きましたねえ。2年間、毎週休まずに続けました。我ながら、えらい。
初級編の一部は、2月に『明るい公務員講座』として出版しました。好評で、4刷りまで出ました。ありがとうございます。初級編の残りと中級編の一部を編集して、『明るい公務員講座2』を出版する予定です。その作業を進めています。ご期待ください。
執筆活動については、右筆に感謝しなければなりません。私がええ加減に書いた文章を読んで、人様に読んでもらえる状態に加筆してくれるのです。
このテーマでの講演の依頼もいくつか、こなしました。
1月から、新しいコラムの連載を始めます。その原稿も、執筆中です。

4月から、久しぶりに、慶應大学法学部で講師を務めています。春学期は、地方自治論Ⅰと公共政策論、秋学期は地方自治論Ⅱです。以前の講義ノートが使えないと分かり(時代は進みます)、準備に苦労しながら、講義を続けました。朝9時から熱心に聞いてくれる学生が、励みです。

このホームページの執筆も、ほぼ毎日、続けました。平成28年11月に、社長に作成ソフトを入れ替えてもらいました。「見やすくなった」と好評です。スマートフォンでも見ることができるのです。出張先でも、携帯パソコンを持っていけば加筆できるので、福島のホテルでも、加筆しています。
「最近は、新聞記事の紹介が多いですね」との意見もあります。そうですね。近年は、復興の「実況中継」が多かったのですが、津波被災地では完成に近づき、原発被災地では方向性が出たので、大きな動きが減りました。それが一つの理由です。まあ、毎日、そんな面白い出来事はありませんわ。

訪問者は、昨年12月に250万人でした。もうじき、270万人になります。つまらないページにお付き合いいただき、ありがとうございます。その3へ

田中拓道教授、これからの政策を考える視点

12月27日の日経新聞「経済教室・社会保障の未来図」は、田中拓道・ 一橋大学教授の「政策 財政・雇用と横断的に」でした。全文を読んでいただくとして、これからの日本を考える視点として、一部を紹介します。

・・・評価のポイントとして、大きく2点が挙げられる。
第1は、財政・雇用・社会保障を横断する「パッケージ」となっているか否かである。先進国はいま、複数の領域にわたる政策転換を迫られている。グローバル化のもとで税や保険料を引き上げることは難しく、財政均衡も共通の課題となっている。
他方、労働市場と家族の変化は「新しいリスク」をもたらしている。先進国の産業が製造業から情報・金融・サービスなどの第3次産業へと移行すると、一時的な失業、短期や非正規などの不安定雇用が増大する。不安定な立場に置かれた人への支援がなければ格差は拡大する。さらに女性の就労が進むと、家庭と仕事の両立に苦しむ女性も増えていく。男性稼ぎ主型家族からの転換が進まなければ少子化のリスクが高まる・・・
・・・第2は、日本の「三重苦」への対応である。他国と比べて日本では、労働市場と家族の変化への対応が遅れた。20年にわたって政界内部で離合集散が繰り返され、場当たり的な対応が積み重ねられた結果、国の借金は国内総生産(GDP)比200%超と先進国最大の水準になった。長時間労働の是正や子育て支援も進まず、男性稼ぎ主型家族からの転換が遅れた。その結果、合計特殊出生率は20年にわたって1.5を下回るなど、少子化と高齢化に直面している。正規労働者と非正規労働者、男性と女性の格差が固定化され、不安定な暮らしに直面する若者が増えている。
少子高齢化、財政赤字、格差固定化という三重苦は、政治の不作為によってもたらされた側面が大きい。はたして今回の改革案は、こうした行き詰まりを打開するきっかけとなるだろうか・・・

・・・現政権は「安倍一強」と言われるほど強い基盤を持っている。にもかかわらず、不人気政策を含めた中長期的なパッケージを提示できないのはなぜだろうか。最後に2点を指摘したい。
第1は、将来どのような社会を目指すのかというビジョンがはっきりしない点である。安倍政権は当初、アベノミクスで3本の矢を掲げ、その1つに規制緩和を軸とした成長戦略を挙げていた。しかし規制緩和があまり進まないまま、15年以降は一億総活躍社会へと看板を変え、分配政策を重視するようになった。
税負担や財政支出を抑え、規制緩和と労働市場の流動化によって市場を活性化し、経済成長を目指すのか。それとも国民に広く税負担を求めつつ、国が中心となって子育てや就労を支援するのか。基本的な将来ビジョンが依然として不明確である。
第2に、より深刻なのは与野党間の競争の不在という問題である。10月の衆院総選挙でも、野党勢力は国内政策を軽視した合従連衡を繰り返し、消費増税凍結などの現実性の乏しい公約を掲げるにとどまった。与党の側は不人気政策を含めた政策パッケージを競う必要に迫られず、耳当たりのよい分配策を並べることで有権者の支持を獲得しようとする傾向が強まった。
社会保障とは、市民一人ひとりの生活に密着した政策であり、単なるトップダウンだけで決められるものではない。中長期的な社会のビジョンに基づく政策のパッケージが複数示され、有権者の選択を経て決定がなされるという民主主義的プロセスが機能しなければ、大胆な意思決定を行えない。今後、こうした政党間競争を実現できるかどうかが問われている・・・