政と官の関係の変化

朝日新聞10月1日の「安倍政治を問う5」は、官邸主導による行政を検証しています。この20年間の政治と行政において大きく変わった一つが、官と政との関係でしょう。詳しくは本文を読んでください。

まだ、政治学も行政学も、この変化の全体像を分析することも、記述することもできてていません。官僚も、積極的な発言をしていないようです。この記事のような、事実の記述と分析が積み重なって、評価の枠組みができるのでしょう。
その場合は、次のような論点が必要です。何が、どのように変わったか。その変化は、なぜ起きたか。制度改革によるのか、運用によるのか、社会条件の変化によるのか。当事者は、どのような行動をとったか。改革の意図と結果はどのように違うか。構造として変わったのか、時の内閣によって変化するものか。マスコミと国民はどのように評価したか・・。

私も、興味を持って勉強していました。というか、私のライフワークは、これなのです。このホームページでも「政と官」という分野を作り、「行政構造改革ー日本の行政と官僚の未来」という連載もやっていたのですが。その後、忙しさにかまけて、放置したままです。いつものように反省。

キレるコオロギとその社会復帰

KDDI総合研究所の「季刊 Nextcom31号」に載っている、長尾隆司・金沢工業大学教授の「キレるコオロギの社会復帰」が興味深かったです。詳しくは、原文を読んでいただくとして。
集団で飼育したコオロギと隔離して育てたコオロギを闘わせると、隔離コオロギが圧倒的に強く、しかも透明なケースで隔離したコオロギは、ひたすら攻撃を続け、最後は相手をばらばらにして食べてしまうほど凶暴なのです。悲しいことに、透明なケース隔離コオロギは、相手がメスでも性行動ができず、殺してしまいます。
この隔離コオロギを、集団コオロギの中に入れると、数日後には攻撃性も収まり、性行動も正常にできるようになります。
仲間との触れあいを断たれた中で育つと、このようになるようです。そして、脳内ホルモンが影響しているようです。

先生は、この透明なケースで飼育した隔離コオロギを「インターネットコオロギ」と名づけておられます。この命名は的を射ています。完全に隔離されて育っているのではありません。つながっているけどつながっていない。インターネットでのつながりに似ています。
先生の研究内容は、「コオロギで探る人間の心」(athome教授対談)でも読むことができます。