南三陸町、仮設商店街の移設

南三陸町の仮設商店街「さんさん商店街」が、本設商店街に移設しました。NHKが特集しています。ご覧ください。
東日本大震災で、初めて、国が仮設の商店や工場を無償で貸し出しました。すべてを流された町では、買い物をする場所もなく、働く場所もなかったのです。この政策転換(事業の復旧には国費は入れないから、国費を投入するへ)は、大英断だと思います。この支援がなければ、復旧は難しかったでしょう。

私も何度も行きましたが、きらきら海鮮丼は、おいしいです。もっとも、記事を見ていただくとわかりますが、ここまでも、そしてこれからも、平坦な道ではありません。

被災地での企業の貢献

河北新報が、連載「トモノミクス」を続けています。3月8日はCSR(企業の社会的責任)を取り上げていました。
トヨタ財団は、このページでも紹介しているように、災害公営住宅でのコミュニティ再建を支援しています。キリンは、多額の基金を積んで、産業振興をしてくださっています。これも、何度か紹介しました。
家庭教師のアップルの、無償学習サポートも紹介されています。

ありがとうございます。ここに取り上げられた会社以外でも、たくさんの会社が様々な工夫をしています。かつては、企業の支援は、義援金や物資の提供でした。それが、今回の東日本大震災では、企業の強みを生かした支援になっています。
お金と物資だと集計は、簡単だったのです。経団連が各企業の支援を取りまとめてくれましたが、お金と物資以外は集計が難しかったです。性質が様々で、足し上げることもできません。

河北新報のような記事は、ありがたいです。このような支援がなされていることを、被災者、国民、さらにはほかの会社にも知らせることになります。
拙著『東日本大震災 復興が日本を変える』では、藤沢烈さんに企業の支援を、青柳光昌さんにNPOによる支援を解説してもらいました。

経済を支える社会資本

3月6日の日経新聞オピニオン欄、ファイナンシャルタイムズ、マーティン・ウルフさんの「インド、経済大国への課題」から。インドが経済発展を続けていること、さらなる発展が期待できることを指摘した後に。
・・・だが、白書は他の新興国との違いも明らかにした。民間部門の活用や土地所有権の保護が不十分なこと、特に教育と医療分野の国の制度の不備、非効率な所得再分配の3点だ。これはインドの民主化に経済発展が追いついていないことが原因だと白書は述べている。
重要な課題が長期的には3つ、短期的には1つある。
長期的課題の1つは教育だ。教育は州が責任を持つもので、モディ政権は各州が改革を競い合う「競争的連邦主義」を打ち出している。しかし、教育に関してはこの施策がまだ十分機能していない。
2つ目は環境だ。今後50年にかけ、実質GDPは5倍に拡大する可能性がある。都市化も急速に進み、人口集中が進む。インドは化石燃料の利用を大幅に増やさずに発展していく必要がある。
3つ目は外部環境だ。無理のない条件で試算すると、世界のGDPに占めるインドの財・サービスの輸出の割合は、現在の0.6%から10年間で倍増する。ただし、先進国で現在、起きている反グローバル化の動きを考えると、スムーズにはいかないかもしれない・・・

経済、そして経済発展を考えるとき、経済取引の世界で考えているだけでは、理解できません。それを支えるさまざまな社会の仕組み、国民の意識、慣行があるのです。その点では、近代経済学は視野が狭いと思います。原文をお読みください。

明るい公務員講座・中級編16

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第16回「交渉(7)付き合いの基本」が発行されました。交渉の最後に、2つのことを書いておきました。一つは、役場の中に閉じこもらず、外に出て見聞を広めよう、異業種の人と付き合おうということです。席にじっと座っていて、仕事が来るのを待つ。今や、そんな公務員は時代遅れです。その方が、楽ですけれどね。
もう一つは、付き合いの基本は、信頼関係だということです。自分の主張だけを声高に言うのではなく、話を聞いてもらうためには、相手の話を聞くことが必要です。難しい交渉こそ信頼関係が必要だという例として、尊敬する先輩である岡本行夫さんの話を紹介しました。今回の内容は、次の通り。
他流試合の勧め、他人の飯を食う、純粋培養の時代は終わった、話を聞いてもらうために話を聞く、傾向と対策、付き合いの基本は人間関係、もう一つの基本。
さて、「第2節 部下の仕事と上司の仕事―仕事の管理」はこれで終わり、次回からは「第3節 褒めて育てる―職員の指導」に入ります。

魚谷・資生堂社長の読書術

日経新聞3月4日の読書欄「リーダーの本棚」は、魚井雅彦・資生堂社長でした。
・・・書店では「何か違った本はないか」と思って探しますが、買った本を見ると「人間の可能性」や「経営哲学」に結びつく本ばかりです。そういう読書をよしとして、楽しんでいるんです。もうちょっと遊びがあってもいいかもしれませんが、自分にとっては企業経営そのものが人生なんです。
ベッドのそばにはメモ用紙が置いてあります。本を開いてから、30分も持たずに眠ってしまうこともあります。それでも本を読みながら「そうだ。明日これを副社長に連絡しないと」「これはおもしろい。うちに当てはめたら、こんな新製品が考えられる」といったことを書き込んでいます・・・
魚谷社長は、奈良県の先輩です