官の役割、民の役割。「支援を必要としている人」への支援2

「ストレーター」という言葉を知っていますか。公式の定義はないようですが、高校を卒業し、大学や専門学校を出て就職し、その後も会社を辞めずに働き続ける人(3年以上)を呼ぶようです。
インターネットに載っている「高校生が100にんいるむら」では、中退、退職などする人を計算すると、「ストレーターは、100人のうち、44人。つまり実際の社会では、ストレーターではない人の方が多い」と述べています。3割以下だという計算もあるとのことです。
世間が想定している「単線的人生」は、半分もいないのです。もちろん、中退して就職する人や退職して転職する人もいますし、フリーターやアルバイトで頑張っている人もいます。
そして、ここでも指摘されているように、学校では、ストレーターを前提にしたキャリア教育が行われています。世間もそれを「常識」としています。すると、ストレーターではない56人は、「自分は標準ではないのだ」と思ってしまうこともあるでしょう。
人生は、これまでの教育や「世間の標準的目標」が想定していたような、順調で単線的なものではないこと。それが現実であり、それを前提とした教育や社会の仕組みをつくらなければなりません。

第一次安倍内閣で、私は再チャレンジを担当しました(残念ながら、政府のホームページからは資料が削除されているようです)。その際に、「支援を必要としている人」に対する行政の対応の欠如を実感しました。刑を終えて刑務所から出てきた人、フリーター、引きこもりの人たち。「落ちこぼれた人」はわかりやすい表現ですが、必ずしも適当でないので「支援を必要としている人」と呼びましょう。
行政はこのような人たちに対し、もっと支援をすべきです。その手始めとして、生活に関する相談についての「行政の窓口」をつくる必要があるのです。そして様々な活動をしている民間団体と連携をして、支援をするのです。
さらに、より大きな視野から、社会の変化が行政の基本に変化を迫っていることを、「行政の変化」として簡単な表にしました。ご覧ください。

官の役割、民の役割。「支援を必要としている人」への支援

先日(1月31日)書いた「官の役割、民の役割。養子縁組」の続きです。
明治以来日本の行政は、国家に有意な人材と健康で優秀な職業人を育てることを、主たる目的としてきました。そして、そこから漏れ落ちた人への対応は、十分とは言えなかったようです。
学校教育を考えてください。東大を頂点とした教育の一方で、高校を中退した若者には、ほぼ何の公的支援もありません。彼らが次に接触する行政窓口が、ハローワークと場合によっては警察では、さみしすぎますよね。挫折した場合のセイフティネットの教育も、十分ではありません。犯罪を犯した場合、誘いに乗って法を犯した場合、どのようにして応援をもらい、立ち直るかは、学校では教えてもらえないのです。「すべてよい子に育てる」という方針の下で、落ちこぼれは置いてきぼりになります。
拙著『新地方自治入門』p175で、スウェーデンの中学の教科書『あなた自身の社会』を紹介しました。そこでは、ちょっとしたいざこざで相手を傷つけ警察に逮捕された少年を例に、その後の手続きを説明しています。同棲や結婚とともに離婚や、失業や病気になった場合の支援も書かれています。
もちろん「よい子」に育てる必要はあります。しかし、みんながみんな優等生にならないのが、現実です。すると、落ちこぼれた場合のことを教えておく必要があるのです。
不本意な妊娠をした場合、それも未成年の場合はどう対処してよいかわからないでしょう。親に言ったら叱られる、どこに相談したらよいかわからないのです。他方で、子供に恵まれない夫婦は、どこに相談したら養子縁組ができるか。あなたは、知っていますか。

周りが見えない人、地下鉄編

毎日のように、不満に思っていました。周りが見えない人です。
今朝、丸ノ内線の駅で、電車が来るのを待っていました。降りてくる人を通すために、ホームドアの真ん中を空けて、私と女性が両側に立っていました。次々と来る人が、私たちの外側に並びます。ところが、後から来た若い女性が、私たちが空けて待っているホームドアの真ん中に立つのです。おいおい・・。
その女性の顔を見ましたが、スマートフォンをいじるのに熱中しています。彼女は職場でも、同僚とうまくいっていないではないかと、心配になります。

今度は、帰りの地下鉄です。降りようとしたら通路に、二人の人が背中合わせに立っていて、通れません。一人は、大きなリュックサックを背負っているのです。
「降ります」と声をかけたのですが。二人ともイヤホンをつけて、私の声は聞こえないようです。仕方ないので、割り込んで通りました。私の後に、数人が続きます。二人が「なんだ」という顔つきで、にらみます。彼らも、自分が周りに迷惑をかけていることを知らないのでしょうね。

この手の話は、以前にも書いた記憶があります。スマホに熱中する、イヤホンをかける。それぞれに自分の世界に没頭できます。それは良いのですが、通路や電車の中では、周囲の迷惑を考えてください。このような場での立ち居振る舞い・マナーは、どこで誰が教えるのでしょうか。

ホームページ、スマホでも見ることができます

先日、「スマートフォンでも、このホームページを見ることができます」と紹介しました。意外なほどに、反応がありました。
・ スマホ版の方がいいです。スマホ全体に文章がきっちり入って読みやすいです。
・スマートフォンでホームページを初めて拝見しました。見やすいと思います。
さらには、次のような報告まで。
・前のホームページより、今の方が見やすいし、検索しやすいです。

う~ん、前のホームページは、何年もかかって、私が見やすいように、作り上げたものなのです。新しいホームページは、社長が作ってくれたのです。
まあ、読んでいただく人たちに、満足してもらえれば良いのですよね。

明るい公務員講座・中級編12

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第12回「交渉(3)外との付き合い―庁外関係者」が発行されました。庁外の関係者に説明に行くことも多いです。庁内での説明なら課長補佐に任せることもできますが、外部の人との説明や交渉は課長の仕事です。あなただって、交渉の場に、相手の課長でなく部下の若手職員が出てきたら、「なんで課長が出てこないんだ(課長を出せ)」と思うでしょう。今回は、根回しの術や、意見の異なる人との付き合い、答弁の術などをお教えします。今回の内容は、次の通り。
関係者への根回し、日頃からの付き合い、考え方の異なる人たち、答弁―事前の準備、答弁―本番での注意、想定問答の罪