明治維新の意義、北岡伸一先生。2

北岡伸一・JICA理事長の「明治維新150年、開国と民主的変革に意義」の続きです。
・・・日本は戦前とは違って、軍事大国ではないし、経済大国としても一時のような勢いはない。しかし、このように先進国への道を歩み、伝統と近代を両立させてきたことでは、世界に並ぶ国はない。
こうした経験を、その過程における失敗の数々とともに、世界と共有することが、日本が世界に最も貢献できる点だと思う。
日本は、政府開発援助(ODA)でも、最も成功した国である。1950年代においては、西欧諸国が援助の対象としたサハラ以南のアフリカ諸国と、日本が援助の対象とした(日本以外の)東アジア諸国の経済水準は、ほぼ同じだった。現在、両者の間には、巨大な差がついている。
その原因の一つは、日本のODAだったと言っても、それほど誇張ではない。
現在、世界の大学、大学院で開発学(development studies)の本場はイギリスだということになっている。しかし、本場は日本であるべきだ。日本を開発学の本場として、世界に貢献することが、日本の義務ではないだろうか・・・

明治時代の意義、北岡伸一先生

12月11日の読売新聞1面「地球を読む」は、北岡伸一・JICA理事長の「明治維新150年、開国と民主的変革に意義」でした。
・・・大正元年(1912年)9月、若き日の石橋湛山は、明治時代について次のように述べている。多くの人は、明治時代を戦争と植民地の拡大の時代だったと見るだろう。しかし自分はそうは考えない。国民は軍事費の負担にあえいでいるし、これらの戦争は、時勢上やむを得ず行ったものだ。その成果は一次的なものであって、時勢が変わればその意義を失ってしまう。
そして石橋は、明治時代の最大の事業は、戦争の勝利や植民地の発展ではなく、「政治、法律、社会の万般の制度および思想に、デモクラチックの改革を行ったことにある」(『東洋時論』「評論」)と述べる。私は石橋の議論に強く共感する・・・

・・・私は国連大使として国連で世界の紛争に関する議論に参加し、また国際協力機構(JICA)理事長として、途上国の発展に関わっている。その度に痛感させられることは途上国の発展の難しさである。
紛争を起こさず、あるいは収束させ、国家的統合を維持し、経済的、社会的、政治的に発展していくことがいかに難しいか。経済発展はできても、そこから民主主義へと発展していくのは極めて難しい。
したがって、多くの途上国にとって、非西洋から先進国になり、自由、民主主義、法の支配といった近代的諸価値と伝統を両立させている日本という国は、まぶしいようなすごい国なのである・・・

先の見えない残業が疲弊に拍車をかける

12月11日の朝日新聞オピニオン欄「長時間労働」から。
・・・産業医として30社ほどを担当する大室正志さん(38)が長時間労働の最大の要因と指摘するのは、管理職のマネジメント能力です。「発注にノーと言わない人が昇進し、無理難題を部下に押しつける。いつ何が降ってくるか分からない状態が、部下の心身を疲弊させる」・・・
・・・心身の健康を保つために必須だと言うのは、残業時間の上限規制の導入です。「先が見える場合は多少の無理もきくが、終わりの見えない状態だと月40~60時間の残業でも心身に深刻な影響が出る。36協定(労働基準法を根拠とする労使協定)で基準とされている45時間くらいを上限とするのが妥当では」
大室さんは「仕事の内容や、やり方は急速に変わっている。上司の経験したことのない仕事をする部下も多い。上司は部下の話を聞き負担を把握することが大切。『大丈夫?』と聞かれると反射的に『大丈夫』と答えてしまうので、聞き方の工夫もいる」。部下についても「負担を上司に伝えることが必要。産業医との面談を含め、『きつい』と言うことのマイナスを心配する人も多いが、無理を続けるマイナスとどちらがマシか考えてほしい」と話します・・・

・・・長い時間働けば、その分成果があがるのでしょうか。日立製作所で人工知能の研究を率いる矢野和男さん(57)は、加速度センサーを身につけ、10年以上にわたり自身や被験者の1日の動きを記録しました。明らかになったのは、1日に動ける時間の長さや、体の部位を動かせる回数は人それぞれに決まっていて、「昨日の遅れを今日取り戻そう」と長時間働いても、こなせる仕事量は実はほとんど増えないということです・・・
原文をお読みください。

明るい公務員講座・中級編8

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」第8回「企画と立案(2)新しい事業に取り組む」が発行されました。
企画と立案(1)で、ある仕事を改善することについて述べました。今回は、これまでにない新しい課題に取り組むことについてです。上司から新しい課題を与えられた場合と、自ら新しい課題を見つけ取り組む場合があります。去年通りの仕事をするなら、課長は不要です。新しい仕事に取り組み、付加価値をつけてこそ、管理職です。もっとも、思いつきだけでは、新しい仕事は進みません。関係者の同意を取り付けるなど、実現にはけっこうな手間がかかります。
批判の上手な人がいます。でも、批判だけなら誰でもできます。解決策を考え、実現してこそ、良い課長です。内容は、次の通り。
新しい仕事に取り組む、課題を考える、段取りを考える、状況対応型と予測準備型、解決策を考える、部長と相談する、財政課長と企画課長の役割、課の進むべき方向を考える。
今回は、5ページにわたる長編です。

パソコンの入院治療

携帯パソコンの電子メール送受信に不具合が生じて、困っていました。やたらと凍り付き、また送信済み一覧が時間が経つと消えてしまうのです。まあ、受信一覧が残っていて、送受信さえできれば、最低限のことはできるのですが。私の手には負えません。
いつものように、IT社長の助けを求め、社長のところに「入院」させました。あっという間に、治療してもらえました。電子メールのソフトを入れ替えたとのこと。どうも、ウインドウズ10と相性の悪いソフトウェアがあるようです。