退職

今日、辞令をいただき、事務次官を退任しました。また、内閣官房参与の辞令をいただき、福島復興再生総局事務局長に就任しました。民間人であり、非常勤の国家公務員です。勤務としては、週の半分を福島で、残りを東京で働くようです。空いた時間で、ほかの仕事に就くこと(兼業)もできます。
昭和53年4月に自治省に採用されてから、38年あまりの公務員人生でした。
未来はわからないものです。自分の人生も。よもや、復興庁の事務次官になるとも、総理大臣秘書官になるとも、予想していませんでした。
もちろん、いずれの仕事も、国家公務員の範囲内なので、そんなに驚くことではありません。また、それまでの私の経験を生かすことができたので、「図らずも」とか「青天の霹靂」ではありません。そのようなことでは、私を選んでくださった上司や、仕事の相手となった国民の皆さんに失礼です。いつも、「私以上にこの仕事ができる奴はいない」という思いで、仕事に取り組んできました。さまざまな活躍の場を与えてくださった神様に、感謝します。
私が公務員になって目指したのは、行政のプロです。そして、日本をよくするために、官僚の力量を発揮することでした。いくつも、これまでにない仕事をさせてもらい、新しいことに挑戦しました。「前例通りにする公務員」ではなく、「新しいことをする官僚」を目指していた私としては、ありがたいことです。指導してくださった先輩たち、応援してくださった皆さん、支えてくれた同僚たちに、感謝します。
振り返って、思うことはたくさんあるので、順次このホームページでも書いていきましょう。

疲れは、体の悲鳴

6月4日の日本経済新聞「その疲れ、休めのサイン」が、勉強になりました。
2012年の厚生労働省調査によると、4割以上が半年間以上続く慢性的な疲労を感じています。そのうち約2%は、日常生活に支障が出ています。文部科学省の調査でも、45%以上に半年間以上続く慢性的な疲労があります。かつても、疲れているという調査結果もありました。ただ、「大半は一晩寝ればとれるもの」でした。ところが、生活や労働環境の変化に伴い、慢性的な疲労に変わってきたのだそうです。
このような疲労の原因は、1に人間関係の悩みなど「精神的ストレス」ですが、そのほか、過重労働や激しい運動のような「身体的ストレス」と、紫外線や化学物質による「生活環境ストレス」があるようです。「だるい」「しんどい」などの疲労感は、「痛み」「発熱」と並んで体の異常や変調を知らせる3大アラームなのだそうです。睡眠や週末の休みで疲れが回復しないなら、慢性化しつつあると考え、医者に相談するべきと、記事は書いています。
たかが疲れ、しかし、あなどるな疲労です。

オバマ大統領、広島演説

オバマ大統領、5月27日の広島での演説から。
・・・Technological progress without an equivalent progress in human institutions can doom us.  The scientific revolution that led to the splitting of an atom requires a moral revolution, as well.
That is why we come to this place.  We stand here, in the middle of this city, and force ourselves to imagine the moment the bomb fell.  We force ourselves to feel the dread of children confused by what they see.  We listen to a silent cry. ・・・

アメリカ大使館による日本語訳
・・人間社会に同等の進歩がないまま技術が進歩すれば、私たちは破滅するでしょう。原子の分裂を可能にした科学の革命には、倫理的な革命も必要なのです。
だからこそ私たちは、この場所を訪れるのです。この町の中心に立ち、勇気を奮い起こして原爆が投下された瞬間を想像してみるのです。目にしている光景に当惑した子どもたちの恐怖を感じてみるのです。 声なき叫び声に耳を傾けるのです・・・

・・・That is why we come to Hiroshima.  So that we might think of people we love — the first smile from our children in the morning; the gentle touch from a spouse over the kitchen table; the comforting embrace of a parent ?- we can think of those things and know that those same precious moments took place here seventy-one years ago.  Those who died -? they are like us・・・

・・・だからこそ、人は広島を訪れるのです。そして大切に思う人々のことを思い浮かべます。朝一番に見せる子どもの笑顔。食卓でそっと触れる伴侶の手の優しさ。ホッとさせてくれる親の抱擁。こうしたことを考えるとき、私たちはこの同じ貴重な瞬間が71年前、ここにもあったことを知ることができます。犠牲となった方々は、私たちと同じです・・・

新幹線の人生修養道場、2

昨日の帰りの新幹線です。帰りもB席でした。同じ列のD席の男性が、駅弁を食べ、ビールを飲み、新聞を読み・・・。それらのゴミを、C席とD席の前の座席のポケットに入れます。東京駅に着いたときにどうするのかなと見ていたら、そのままにして降りていきます。大きく倒した座席も、そのままです。
大臣秘書官の時に、新幹線を降りるとき、ゴミをそのままにして降りようとしたら、大臣が片付け始めました。言い訳をすれば、私は大臣と私の鞄を持っていて、また次の行動を考えていたのです。「ゴミは清掃員が片付けてくれるわ」と思っていました。それ以来、恥ずかしくなって、到着する直前にすべてのゴミを片付け、リクライニングシートを元に戻すようにしました。
ホテルに泊まったときもそうです。大臣も総理も名前が売れているので、シーツや洗面台を汚いままにして部屋を出るわけにはいかないのです。
新幹線の清掃が、短時間で丁寧なのは有名です。発着本数の多さに比べ東京駅のプラットフォームの少なさが、その要因なのですが。お客さんが協力することも、日本社会の良さです。
そのお兄さんに対しても、小心者の私は、黙っていました。

産業再生、岩手県の取り組み

今日は、盛岡まで、「いわて復興未来塾」に行ってきました。20分時間をいただき、この5年間、国が何をして、私が何を考えていたかを説明しました。短い時間で要約することは、勉強になります。あれも言いたい、これも言いたい。でも時間がないので、絞り込む必要があります。パワーポイントを7枚、それも1枚ごとも写真と極めて簡単な説明しか書いていないものを用意して、説明しました。
その後の、基調報告もすばらしかったです。キリン株式会社CSV推進部長 林田 昌也さんの「キリン絆プロジェクトの取り組み」、東の食の会事務局代表 高橋 大就の「サヴァ缶に見るマーケティングの重要性」です。かなり高額の参加費を払ってでも、聞く価値のある内容でした。今日参加された方は、お得でしたね。
その内容は、ここでは紹介しきれないので、参考になるサイトを紹介します。キリンのCSV東の食の会宣伝ビデオ(3分10秒)。おしゃれなサバ缶Ca vaヤマキイチ商店、泳ぐホタテ君ヶ洞剛一さん
復興のイベントの内容が、産業振興です。私の話でも強調したのですが、インフラ復旧だけではこの地域の復興はない、産業再生とコミュニティ再建が必要と言い続けてきました。今や、政治家から自治体やマスコミまで、これが常識になりました。復興の哲学を変えることに成功しました。うれしいですね。