朝日新聞3月12日オピニオン欄「東日本大震災5年、私たちは変わったのか:5 公と私」、牧原出先生の「政治問う声、社会決める」から。
・・・「3・11」で、政府の行動に何よりも求められるのは峻厳さだと、国民は体感しました。巨大で深刻な問題に、時機を逸することなく、断固として的確に手を打たねばならないという国家の役割が国民にはっきり見えたのです。
冷戦終結後の1990年代には、物事は社会や市場で解決されるだろうという楽観的なガバナンス論が広がりました。その考えに立った最後の政権が民主党政権ともいえる。ところが2008年のリーマン・ショックでは、市場の暴走に国家がしっかり対峙すべきだという考えが浮上した。こうした考え方を、震災は押し広げました・・