川北稔著『私と西洋史研究』には、次のような発言もあります。先生は、ウォーラーステイン(近代世界システムで有名です)の翻訳で有名です。ある分野の第一人者としての自信が出ている発言です。こうなりたいものです。
・・・ところで、ウォーラースティンの『近代世界システム』第1巻の膨大な参考文献リストをみたとき、それが、私が学部のときから必死で読み込んできたもののリストとほとんど一致していることに気づきました。だから私は、いささか口幅ったいのですが、あれを訳す人間としては、私が最適であったと確信しています・・・(p146)。
月別アーカイブ: 2015年7月
「新しい東北」ミーティングin東京。企業やNPOの協力
今日は、浜松町の「新しい東北」ミーティングin東京に行ってきました。大臣の挨拶の後、15分時間をいただいて、「復興の現状と新しい課題」を話しました。産業復興とコミュニティ再建には、企業やNPOの協力が必要です。多くの企業が、引き続き、復興を支援してくださっています。その活動を紹介するとともに、新しい仲間を引き込むことが目的です。キリン、IBM、NEC、ベネッセが、支援の事例を紹介してくれました。キリン絆プロジェクト、(活動実績。動画)。IBM、(社員による問題解決術の支援)。NEC、(社員参加型の支援、動画)。ベネッセ、(子どもの学習支援)。
今日の報告で印象的だったのは、企業の支援が、本業の強みを生かしたものになっていることです(キリンでは飲み物や食品、ベネッセでは教育、IBMでは職員のマネージャーとしての能力)。たぶん、その方が長続きするのでしょう。そして、ボランティア的な社会貢献だけでなく、企業活動を通じての社会問題の解決(CSV)へと発展しつつあることです。
キリンは、社長が、CSRからCSVへの転換を表明しておられます。・・・企業の社会的責任(CSR)」から、社会課題の解決と企業の成長の両立を目指す「共有価値の創造(Creating Shared Value=CSV)へ考え方を一歩進めることにしました。近年、お客様の社会課題への関心の高さや、キリンに対するご期待の大きさを強く実感しています。これらに対し商品やサービス等を通じてアプローチし、ご期待にお応えしていくことが、私たち自身の事業の成長にもつながると考えています。キリンが培ってきた強みを活かしながら、今後もCSVの実現をめざして継続的に取り組んでまいります・・・
これまでも復興庁では、企業との連携、NPOとの連携を進めてきました。企業の発表でも、復興庁が整理した「企業の支援の分類の表」(発災後、その後)を使ってもらいました。しかし、まだまだ進める余地があるようです。このように意欲の高い企業や人たちと、支援を求めている現場とをどのようにつなぐのか。はやりの言葉で言えば、プラットフォーム機能です。
施設や設備は、お金を払えば作れて、また目に見えます。しかし、このような人やノウハウの支援は、お金を出せばできるものではなく、目にも見えにくいです。そして、継続が必要です。どのように世間の方に知ってもらうか、そして広めていくか。難しいです。
今月も今週も、あっという間に過ぎました
熱心な読者から、意見がありました。「7月になったら、いつものように『私の断りもなく、今年も半分が過ぎました』と書いてください」と。すみません、書こうと思ったのですが、他の記事が忙しくて。今週も、あっという間に過ぎました。昨日、職員の反応「朝が長くて困ります」を書いたところですが。
37年間の公務員生活で、「今日は、時間が余って困る」という事態は、思い出せません。仕事に追われているか、締め切りが迫った原稿を抱えているか、書きたいと思っている論文の企画書を書いているか、不義理をしている方との飲み会(異業種交流会)の設営に悩んでいるとか・・。
しかし、このホームページに何度も書いているように、日々の忙しさと、長期的な成果とは比例しません。毎日忙しい割には、成果が上がっていない。それはよくあることです。組織管理者になったら、1年や2年、あるいは5年で、その組織がどのような成果を出すか、を考えることが仕事です。
振り返ると、この3か月間、大臣や職員と一緒に「復興後期5ヶ年の事業計画」策定に力を入れてきました。それが、無事終わりました。そこで、「これからは、次官らしくゆっくりするぞ」と叫んだのですが。昼間は、次官室に座っているだけで、部下職員が断続的に攻撃に来ます。それを阻止せずに、どんどん入れる「悪い秘書」もいます(笑い)。部下と秘書は、「岡本次官が、好きで仕事をしているのでしょ」と反論するでしょう。その通りですけどね。
早退したいのですが、毎晩、異業種交流会があり。しかも、たいがい6時半開始なのです。今日も5時過ぎに、長島副大臣に職場を見回ってもらい、職員に「早く帰るように」と声をかけてもらいました。それを見届けて、5時15分に会社を出て、銀座まで2キロメートルを、1時間かけて歩いて行きました。銀座の、中国からと思われる旅行者の買い物風景は、すごいです。大型バスが止まっていて、その周辺は両手に商品を持った人や、商店を見て回る観光客で一杯です。40年前のパリやロンドンは、日本人観光客で、同じような風景だったのでしょうね。
早朝勤務、残業削減、2
昨日は、一部の職員を残して、多くの職員が定時に退庁したようです。今朝もほとんどの職員が8時半には出勤。感想を聞くと、「午前中が長いです」「お腹がすきます」とのこと。
私にも覚えがあります。大臣秘書官になって(37歳)、閣議日は4時半起床、5時15分には家を出る生活でした。午前中が長く感じられ、またお腹がすきました。それ以来、朝食はしっかり食べるようになりました。この生活が続くと、若手職員たちも、「残業などせずに、早く帰ろう」と思うようになるでしょう(苦笑)。
これで、霞が関に、「早朝出勤、早めに退庁」が定着するとよいですね。クールビズに続く第2弾になることを期待します(例えば2014年7月1日の記事)。法律でも補助金でもなく、官邸の声かけで生活の形が変わるという実例です。
経済界の復興協力
経済同友会は、発災以来、様々な形で被災地支援をしてくださっています。広報誌『経済同友』6月号にも、「国連防災世界会議 パブリック・フォーラム防災シンポジウム。東日本大震災の経験・教訓を踏まえた防災への取り組み」などが載っています。また、裏表紙には、「福島県産品販売等支援協力のお願い」として、加盟企業の協力実績が載っています。ありがとうございます。