お知らせ、被災地と支援者をつなぐコーディネイト

ワーク・フォー・東北」が、被災地で働く専門人材募集の説明会を開きます。12月8日に東京でです。すでに現地で働いている人たちも登壇して、経験談を話してくれます。これまでに、45人の人が派遣されています。
被災企業と支援してくれる大手企業とをつなぐ「結いの場」を、12月9日に南相馬市で開きます。今回は、金属加工業の方々です。実は、福島県浜通りは、機械や金属加工業が盛んです。ノウハウの乏しい中小企業に、大手が技術支援などをしてくれます。
これらは、支援してほしい現地や企業と、支援したい企業や人とをつなぐ試みです。地域振興や産業振興には、このようなコーディネイトが重要です。お金やモノの支援ではできない分野について、新しい行政の手法だと考えています。

倫理と法。生殖補助医療

11月23日の日経新聞「日曜に考える」は「生殖補助医療、どう法整備」でした。夫婦間の不妊治療(人工授精、体外受精)は、親子関係に問題を生みませんが、第三者が関わると難しい問題が起きます。夫婦以外の人からの精子や卵子の提供、代理出産です。問題が多いので法律で禁止するという案もありますが、子供を望む親がたくさんいるので、反対も多いでしょう。そして、隠れて行う人や海外に行って行う人が出てきます。
第三者が関わった場合、誰を親と認めるのか。ここから法律の世界に入ります。親子関係を定める必要があるのです。精子を提供してもらった場合、父親はその男性か、生んだ女性の夫か。卵子を提供してもらった場合、母親は卵子を提供した女性か、生んだ女性か。代理母出産をした場合、母親は誰か。提供者をわからないままに、提供を受けた夫婦の子供にするのが、子供の幸せのような気もしますが、親を知りたいと思う子供の声にどう答えるか。
医療技術が進歩したから、出てきた問題です。現行の民法は、想定してません。どれが正しいという問題ではないので、答えを出すのは難しいです。
「臓器移植を進める際に、何をもって死と認定するか」を決めるときもそうでした。役所(官僚)が検討して、答えを出すことができるテーマではありません。論点は整理できますが、政治が決めなければなりません。倫理を政治がどう扱うか。政治や行政を論じる際の重要なテーマだと思うのですが。教科書には、出てこないようですね。

公務員倫理

12月1日から、国家公務員倫理週間が始まりました。昔も12月と1月は飲み会が多いので、規律保持の通達が出ました。さらに、20年ほど前から、公務員の不祥事が続いて、公務員倫理法が制定されました。職員用教材には、当時の事例がいくつか紹介されています。若い人たちは、具体事例を知らないでしょうね。
復興庁でも、全職員に、自己点検とe-ラーニングを義務づけています。私も取り組みました。判断に迷ったら、厳しい方を選択することです。そして、疑問があったら、担当職員に聞くことが一番安全です。少しの気の緩みで、給料や退職金が飛んでしまうのは、ばからしいです。

産業支援の新しい手法類型

日本政策投資銀行と被災3県の地域銀行などが「復興・成長支援ファンド」を作ります。概要は、記者発表資料(DBJ News岩手銀行七十七銀行東邦銀行)を見てください。
ここでは、その位置づけを解説します。企業の復旧と産業の復興の支援には、いくつもの手法があります。それを、分類したのが、資料(産業復興支援の分類)です。
この図では、一番下が、損壊した施設の復旧、資金繰り支援、二重ローン対策など、応急復旧期の支援です。この段階では、図右下に書いてあるように、政府主導の取り組みが主になります。その後、本格復興と発展の段階になると、企業の新たな挑戦を支援しなければなりません。そこでは、真ん中の段左から2列目に書いてあるように、計画を作ったり、技術支援などの提携先を探したり、取引先を見つけたり、リスクマネーを供給したりすることが必要になります。
復興庁が行っている「結いの場」は、この技術支援や取引先(販路)を探すための「お見合いの場」の試みです。これは、右側真ん中の段に書いてあるように、官民連携による取り組みです。資金の供給(リスクマネー)については、民間による融資と経営相談が必要です。ここでは、民間主導の取り組みが要請されます。これまでにも、いくつかの融資や支援が行われています。今回、そこに「復興・成長支援ファンド」が付け加わったのです。中段右側の黄色い部分です。
国の補助に頼っていては産業の自立はありません。しかし、全てを民間でとか自己責任でと言っていては、復旧できず、また新たな発展はありません。どのように後押し・支援をするか。この図では、右側に下から、政府主導→官民連携→民間主導というように、分類してあります。
この図は、職員たちが苦労して作ってくれたものです。私のような産業についての門外漢にもわかるように、整理・分類してくれました。このような分類では、どのような角度で切り取るか、哲学が重要です。「切れ味」がよいと、わかりやすいです。ありがとう。