6月30日の朝日新聞が、「被災地で研修、相乗効果。復興支援超えて、社員派遣次々」を書いていました。
先日、このページでも、積水ハウスが新入社員研修として、石巻市の仮設住宅でのボランティアを行っていることを紹介しました(2014年5月27日)。
温泉地での親睦会を被災地でのお手伝いに替えた、東芝の例も紹介されています。他にも、双日、伊藤忠、NEC、リコー、日本航空、日本政策投資銀行、三井不動産、日本郵船などが取り上げられています。
被災地では、ボランティア活動の需要は、まだまだあります。そして、組織的に来てもらうと、受け手としてもありがたいのです。
新人が汗を流すことの意義、被災者(顧客)の立場で考える経験をすることで、企業の側にも効果があります。すると、単なる企業ボランティアでなく、双方にとって得るものがあることから、長続きすることも期待できます。もちろん、被災地側も、受け手の窓口となるNPOなどが必要です。このほかに、地元で泊まったり食事をすることの経済効果もあります。
この記事は、「記者が歩く」というシリーズです。この内容は、現地を歩かなければわからないテーマであり、かつ多くの会社を取材しないと書けない記事です。なかなかこれだけの内容のある記事は、書けません。少なくとも、霞が関の各省の記者クラブで取材しているだけでは、書けません。うれしいですね、現地にこのような記者がいることは。斎藤徹記者、古庄暢記者、ありがとうございます。
月別アーカイブ: 2014年6月
被災者支援、寄り添い、力引き出す
6月28日の日経新聞、福島経済特集には、稲垣文彦さん(中越防災安全推進機構復興デザインセンター長)のインタビューも載っています。発災直後から、福島の避難所運営に携わっていただいています。
・・中越の経験から、避難者が自発的に避難所を運営し、支え合えるように促した。行政など誰かにしてもらうのではなく、自らが復旧、復興を進める意識と、自らが役割を持つことで元気を取り戻せるという思いからだった・・
・・自ら働き汗をかいたことの尊さ。失ったものを補う支援は初期段階も今も大事だが、震災・原発災害が横たわり、本来持っている生きる力を発揮できない人たちの力、能力を引き出す支援が時を追うごとに必要になる・・
・・復興支援員制度は今や総務省が取り入れているが、新潟県で始まった地域復興支援員制度が原点。支援員をはじめボランティアは、地域外の若者が担ってくれると効果が大きい・・
原文をお読みください。
原発被災地、交通インフラの復旧
6月28日の日経新聞、福島経済特集が、交通インフラの復旧が進んでいることを取り上げていました。
JR常磐線が、6月1日に広野駅から竜田駅までの運転を再開しました。被災地の南側から北に向かって、線路が延びて行っています。
竜田駅は、楢葉町の中心にあります。楢葉町は、来春の避難指示解除を目指しています。まだ宿泊はできないのですが、片付けに一時帰宅する住民、事業を再開した関係者の足となっています。また、第1原発の廃炉作業に携わっている作業員達の多くは、いわき市などの宿舎からバスで第一原発に通っています。6月3日に視察したときに聞いたら、作業員が竜田駅まで鉄道できて、そこからバスに乗り換えているのだそうです。なるほどね、バスと鉄道では、輸送力が格段に違います。国道の渋滞緩和にもなります。なんと言っても、乗っている乗客の疲れが違います。
常磐線の北側は、宮城県南部から福島県北部にかけて、津波で流されました。内陸部に移転して復旧作業中です。その工事も進んでいます。
財政政策、政府の役割
財政学の教科書には、財政の3つの機能が載っています。
1 公共財の提供(資源配分の調整)
2 所得再分配(所得と富の分配の調整)
3 景気の調整(経済の安定化)
市場の失敗に対する補完として説明されます。マスグレイブが体系化しました。
これは、財政の役割です。しかし、市場と政府の関係をより広い視野から見ると、政府の役割には、これら以外にも重要な役割があります。
すなわち、市場経済が機能するように条件を整備することです。私有権の保護、契約の尊重、取引のルールの設定、紛争が生じた際の解決などです。これらが機能して、初めて市場の失敗が議論になるのです。
私は、「国家の役割と機能の分類」で、「経済社会活動のルール設定」という項目を立て、次のようなものを具体的な行政分野としてあげました(行政の分類)。
①経済社会:民法・商法・会社法、通貨制度、金融制度、経済取引
②労働:労働・雇用法制
③公共空間管理:電波・電気通信の監督、交通ルール
④紛争処理:民事裁判、各種ADR制度
もう一つ、市場に対する政府の役割があります。
「国民生活の向上」のために、産業政策、科学技術の振興を行うことも、現代の政府には期待されています。これも、財政の3機能(市場の失敗の補完)とは違った、政府の役割です。
拙稿、「行政構造改革」第3章第3節政治の役割(月刊『地方財務』2008年9月号)で、このような政府の役割を整理しました。ところで、このような議論(政府の役割)を整理した教科書は、案外見つかりません。もちろん拙稿は、十分とはいえません。連載自体が中断しています。すみません。いずれ、完成させます。
白菜を見に、上野へ
今日、キョーコさんのお供をして外出した後、一大決心をして、上野の国立博物館へ。そう、あの「白菜」を見るためです。昨日まで、展覧会のホームページ(台北故宮博物院)を見たら、「180分待ち」とか「90分待ち」とか出ていて、迷っていたのです。「240分待ち」という記述もありました。しかし、夜8時までやっているとのこと。それなら夕方を狙うしかない。平日夜は毎日のように「所用」があるので、行くなら土日の夕方。しかも、白菜は7月7日までしか、展示されません。
4時過ぎに渋谷を出発する頃には、雷が鳴り大雨が降り出しました。上野に着いたら小降りになっていましたが、噴水前は大きな水たまりができているほどです。白菜は90分待ちのとのことなので、ほかの展示を待ち時間無しで見てから白菜へ。すると、30分待ちで、実際は20分くらいで見ることができました。日曜の夕方なのと大雨で、観客が少なかったようです。
白菜は、「よくまあこんなものを、堅い玉を削って作ったねえ」と思わせるものでした。もちろんビデオの解説の方がよくわかりますが、実物を見る価値はあります。職人がどれくらいの時間をかけたのでしょうか。あの大きさですから、一度に一人の人しか加工できません。3人がかりで同時にとか、4人で分業してとは、いかないのです。
ところで、あのキリギリスの羽は、本来はもっと長く大きかったのが、途中で折れたように見えました。