今日6月11日の読売新聞は、復興特別面で、「復興住宅、あふれる笑顔」を、1面を使って紹介していました。 石川剛記者と今井正俊記者の署名記事です。
・・「復興住宅(災害公営住宅)」の建設が、本格化している。計画戸数は岩手、宮城、福島など8県で計2万4841戸。うち完成したのは6県の364戸と、まだ全体の1.5%ほどに過ぎないが、穏やかな暮らしを取り戻した入居者には笑顔があふれる。一方で、入居希望者が現れない住宅もあるなど課題も見え始めている・・・
仮設住宅で不便な暮らしをしておられる避難者に、本格的な住宅に入ってもらうことが、現時点での第一の課題です。ご自身で家を再建できる方もおられますが、財産をなくしまた高齢で、公営の住宅に入られる方も多いです。
記事でも指摘されているように、まだ全体の1%しかできていませんが、建設見込みはほぼできています。この建設を急ぐことと、住宅再建だけでなく、コミュニティや商業・医療サービスなどを再開して、町の賑わいを取り戻す必要があります。
記事では、建物の外観だけでなく、入居者の状況も写真(カラー)で紹介されています。こういうことは、私たちの記者発表資料ではうまく紹介できませんね、残念ですが。
そして、記事では、被災者の方の心情までくみ取った「ミクロ」の取材と、全体ではまだ進んでいないという「マクロ」の指摘の、双方を取り上げています。しばしば、一地域の実情だけで全体を批判したり、逆に全体の数字だけで現場を見ないという「偏った記事」もあります。そのような中で、このように、現場の実情と全体の状況の両方に目配りした記事には、私たちも敬意を持ち、また指摘された問題点に答えなければなりません。
年別アーカイブ:2013年
長期避難者のための生活拠点建設
現地視察の記録
この四半世紀の日本の政治改革、その5
・・そのためには政党は普段から内部で徹底的に議論をし、組織の凝集性を高めていく努力が必要であるが、他の先進国と比べて日本の政党のそうした組織的努力はきわめて不十分である。
当然のことながら、他の社会的組織と比べてもその性格が曖昧であり、政治家たちの便宜を満たすための道具のようにしか見えないこともある。この組織的な弱体をトップリーダー個人への期待によって代替しようとする試みは、当然のことながら、政治の不安定と背中合わせである。さればといって、懐かしい不透明性の昔の世界に戻るわけにもいかない。その意味で「平成デモクラシー」はなお暫く真摯な自己改革を必要としている・・
いつもながら、視野の広いかつ切れ味のよい、佐々木先生の分析です。私は、「行政改革の現在位置~その進化と課題」(北海道大学公共政策大学院の年報『公共政策学』第5号、2011年3月。p37~)で、1990年代以降の行政改革を整理しました。この20年間に、様々なそして大きな行政改革が行われ、あわせて範囲と目的が広がってきたこと論じました。それらの改革がなぜ行われたか、その社会経済的背景を述べるとともに、それらを「小さな政府・財政再建」「官の役割変更・経済活性化」「ガバナンス改革」の3つに分類しました。行政改革が単なる組織や予算の削減にとどまらず、官の役割見直しや行政機構のガバナンス改革に広がっていることを指摘しました。
拙稿は、20年間の行政改革を対象としましたが、佐々木先生の論考は政治を対象としておられます。拙稿での分類の一つ「ガバナンス改革」が、政治改革との共通分野になります。
被災地から発信する新しい地域包括ケアモデル
先日(5月25日の記事)、石巻を視察し、在宅診療を行っている祐ホームクリニックの取り組みと、今後の構想を紹介しました。事務局が、その際の資料をホームページに載せてくださいました。園田さんありがとうございます。資料は大部ですが、私が理解した要点のみ紹介しましょう。
石巻市は、市街地での津波被害が最も大きかった都市です。2つあった基幹病院の1つが診療不能になり、開業医もたくさんいなくなりました(p7)。
そこで、武藤先生が在宅医療診療所を開設し、医師仲間や関係者の協力を得て、診療に当たってくださいました(p2、8)。先生はもともと、東京都内で在宅診療を進めておられました。
また、仮設住宅だけでなく、在宅の被災者2万世帯も訪問し、市役所などと共同して、医療だけでなく福祉・生活面のサポートもしてくださいました(p13、活動概要)。これは拙稿「被災地で考える「町とは何か」」(共同通信社のサイト「47ニュース、ふるさと発信」2012年8月31日)の中で、「NPOの活動例①石巻医療圏での健康と生活支援」として紹介しました。
ベットを持たず、200人以上の患者に対し往診に行くのですから、患者の情報を医師やスタッフで共有することが重要です。それを、ICTによって解決しています(p10)。また、介護とも連携を取り、さらには家族だけでなく東京に離れている家族にも情報を共有しようとしています。
被災者は病気だけでなく、生きる希望が小さくなり、他方で人とのつながりを求めています(p16~)。医療や介護だけでなく、健康・生活支援、地域とのつながり、家族への支援が必要です。ここでのモデルの特徴は、「対面も含めた接点により健康・生活の状態を把握する」「データベースとコーディネーター機能の活用」「民間サービスを含めたサービス・プラットフォーム」「家族のサポートの原動力」です(p23)
医療と介護だけでなく、健康管理や生活サービスまで、在宅で(病院に入院せずに)、地域や家族をともにお世話しようという試みです。これからの大きな課題への、有力な対策だと思います。