ITを復興支援にどう活用するか、2

昨日のシンポジウムについて、適当な紹介サイトがないので、藤沢烈さんのブログにリンクを張っておきます。藤沢さんは、モデレーターを勤めています。
せっかくの試みなのですから、インターネットで紹介してくださいね(私が、見つけていないだけかもしれません。ごめん)。
私は、昨日書いたように、ITの発展とともに、その活用はどんどん進むと考えています。ただし、技術があれば社会が変わるとは思っていません。それを人間がどう使うかです。これについては、別途書きます。

ITを復興支援にどう活用するか

今朝は、グーグル社が主催し、経団連会館で開かれたシンポジウム「地域活性化 2.0―東北と全国から考えるインターネットの可能性」で、挨拶をさせてもらいました。もう一人の挨拶は、総理夫人でした。
このホームページでも何度も書いているように、発災直後にインターネットは大きな力を発揮しました(例えば2013年11月3日の記事)。東日本大震災は、「災害対策についてのインターネット元年」でした。これだけ、携帯電話やインターネットが普及したのは最近ですから。さらに現在では、スマートフォンが普及しつつあるので、もっと活用の幅が広がるでしょう。大災害は起きてはほしくありませんが、起きたときには大きな威力を発揮するでしょう。
今日の集まりは、救助や応急の時期ではなく、復旧から復興の段階で、インターネットをどのように活用できるかを考える会でした。この分野は、これからの手探りの状態です。
ITは、あくまで手段です。それを使いこなすのは、人です。私は、民間が復興に参加してくださる際に、ITは有効な手段になると考えています。どこに、どのような人が、どのような支援を待っているか。他方で、どこに、どのような人が、どのような支援をしても良いと考えているか。お金でない、知恵やノウハウの支援です(イノベーション東北の例)。それを探してつなぐ際に、インターネットは便利です。これを一つひとつ探すのは大変です。でも、インターネットなら、コストもかからず、簡単につないでくれます。
もちろん私たち行政も活用しますが、民間(企業やNPO)が支援してくださる際に、重要な道具になると考えています。ITという道具から発想するのでなく、民間が復興に参画する際にどう使えるかという人や団体から発想してほしいのです。若い発想、民間の力で、新しいことに挑戦してください。

砂原准教授、サントリー学芸賞

夕方からは、サントリー学芸賞の授賞式に、行ってきました。前にも紹介しましたが、砂原庸介・大阪大学准教授が受賞されたので、お招きいただきました。
パーティでは、そうそうたる学者・研究者の方と、お話しをすることができました。行政学や政治学では、少しは面識がある方がおられるのと、「初めまして」と名刺を出すと、「岡本さんですね、一度お目にかかりたいと思っていました」とお世辞を言ってくださる方もおられて。
官僚として、あるいは官僚にしては、いろいろ珍しい経験をさせてもらいました。今も、これまでにないことを、しています。この経験を、後輩たちだけでなく、学界や社会に還元しなければと、思ってはいるのですが・・。
異業種交流会は、楽しいですね。元気をもらえます。サントリーのワインも、おいしかったです。

アジアの復活と日本の貢献

12月6日の日経新聞経済教室、キショール・マブバニさん(シンガポール、リー・クアンユー公共政策大学院長)の「アジア中間層、17億人に」から。
・・アジアについて、日本がぜひ知っておくべき重要な数字が一つある。今日、アジア全域で所得が一定水準以上の中間層は合計約5億人だが、2020年までに、現在の3.5倍の17.5億人になると見込まれることだ。これは世界史上かつてない現象であり、日本の将来にも重大な影響を与えるだろう・・
アジアの中間層はなぜ爆発的に増えているだろうか。ある意味で、これは驚くべきことではない。アジアの繁栄の「復活」は、ごく自然な成り行きである。
西暦元年から1820年までは、世界の二大経済大国といえば常に中国とインド、すなわちアジアの国だった。欧州、続いて米国が台頭したのは、この200年のことに過ぎない・・
ただし(アジアの)復活の時期は、いくつかの偶然の要素が重なった結果である。中でも重要なのは、日本がアジア国家として初めて近代化に成功したことだ。アジア諸国は日本に礼状を書くべきだと拙著の中で強調したのは、このためである。日本の近代化の成功で、アジア各国ではあとに続く気運が高まった。日本の成功がなかったら、アジアの大半は、先進国の仲間入りを果たした国がまだ一つもないアフリカ、アラブ、中南米のようになっていただろう・・

福島復興加速化交付金を新設

12月5日に経済対策が決定されました。その中に、復興関係として「福島復興加速化交付金」の創設が盛り込まれています。
これまで個別に実施している福島関連の既存の交付金を束ねるとともに、隙間を埋める事業も作ります。
復興庁では、平成23年度に復興交付金を作って、復興に関する各省の補助事業を束ねるとともに、補助率を引き上げ、その地方負担も復興特別交付税で手当てをしています。また、本体事業に付随する事業も効果促進事業として対象を広げています。これで、かなり柔軟に事業ができ、かつ地方負担も無しになっています。これまでにない、使い勝手の良い、自治体に喜んでもらっている制度です(関係資料)。
ただし、復興交付金は自然災害からの復興事業を基礎としていたので、地震津波災害には効果を発揮しているのですが、原発事故災害にはしっくりこないという指摘もありました。例えば、津波にのまれた地区は高台移転します。その場合は、元の家はなくなっている、元の地区には住めないのです。一方、原発事故避難区域では、現時点では帰還できないのですが、家は残っていますし、将来の帰還は可能です。そもそも、これまでの復興事業制度は、原発事故による避難や帰還困難を想定していないのです。
これまで福島の復興に関しても、現地の要望に従って、次々と事業・予算を作ってきました。今回、それらを束ねるとともに、新しく必要になった事業を作ることにしたのです。事態の進展によって、しなければならないことが見えてきます。