各企業が、悪条件を克服して事業を再開したり拡大した事例を、調べて発表しました「企業による復興事業事例集」。悪条件を、「人材やスキルの不足」「用地や設備の不足」「資金不足」「事業環境の変化」の4つに分けて整理してあります。
代表例としては、トヨタの生産方式「カイゼン」を取り入れて生産効率を上げた水産加工会社。
工場を流された醸造会社が、同業他社の設備を借りて生産を再開した事例。さらに、この会社は、NPOの仲介で、大手企業と共同で新製品を開発しました。
放射線で全村避難した地区で、健康管理を徹底しながら操業を再開している金型会社もあります。
被災地では多くの企業が同じような悩みを抱えています。これらの先行事例を参考にしてもらって、事業が再開され拡大されることを期待しています。
今回の大震災からの復旧に際して、インフラや住宅の復旧だけでなく、サービスや産業の再開にも力を入れています。国土が復旧しただけでは、生活は再建できません。
もっとも、道路の復旧や公営住宅建設のように、政府が自治体とともに直接取り組む分野と違い、働く場や事業の再開は、民間の分野であって、政府が直接行う分野ではありません。しかし、個人や企業が事業を再開する際に、お手伝いをしたり条件を整えることは、政府ができます。手法としては、補助金や税の減免、施設の貸し出しといった「カネやモノの提供による誘導」だけでなく、優良事例の紹介、企業が求めているモノと別の企業が提供できるモノをつなぐといった「情報の提供」「つなぎの場の設営」などもあります。(復興庁の企業連携)