復興庁の組織と運営の特殊性

復興庁は、大震災からの復興という目的のために作られた、臨時の組織です。その任務の特性から、組織や仕事の運び方が、他の官庁と違った性質を持っています。
1 司令塔=「頭でっかち」な組織
現地での復旧は、個人、企業、市町村が主体です。そして、その主体に不足しているもの(財源、人、ノウハウ)を提供し、現地の課題を解決していきます。また、国がそれらを支援する際にも、各論は各省に担ってもらいます。道路の復旧や住宅の再建は、国土交通省というようにです。復興庁は、司令塔として全体を管理し、各省にまたがる課題を解決します。
すると、復興庁の組織は、「頭でっかち」になります。本庁には約200人の職員がいますが、参事官(課長)が28人もいます(このほかに、各省に席があって併任をかけている課長も多いです)。企画官と補佐は約70人です。あわせて、全職員の半数近くになります。各省に指示を出し調整をすることが仕事なので、それなりの経験と知識、そして格(職位)をもった職員が必要なのです。
机の配置も、良く言えばフラットになります。各省だと、課長補佐が座っているような席に、参事官が座っています。

2 調整=執務室は大部屋
各省にまたがる課題を、解決しなければなりません。すると、関係する参事官が複数になります。また、津波被害地にしろ原発事故被災地にしろ、街を作り替えたり、町全体を復旧しなければなりません。インフラ、住宅、産業、サービス、その財源、市町村との調整、住民意向調査・・。たくさんの参事官が関係してきます。
各市町村担当の参事官も決めてあるので、各課題担当(縦割り)参事官と調整します。町や住民の立場に立って、タテ(専門行政分野担当)を、ヨコ(市町村担当)が集約するのです。
私もしょっちゅう個室から出て行って、「××の件やけど、これって○○参事官だっけ。△△参事官も関係しているよね」と、尋ね歩きます。
「部屋が分かれていて、課題ごとに会議室に集まって調整する」なんて悠長なことでは、仕事が進みません。そこで復興庁の執務室は、大部屋です。職員を見通せるような席の配置で、いつでも関係者が議論できるようになっています。
みんながあちこちで議論しているので、この職場は、正直言って「うるさい」です。声の大きい職員(私の他にK参事官やM参事官など)がいるだけではありません(笑い)。
かつて、民間の先輩が訪ねて来られたときに、「全勝君の職場は、高度成長期のころの会社を思い出すよ。活気があって」と、誉めて?くださいました。
この項続く。